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極限の地“アラスカ”での挑戦。京大理学部生が追いかける「オーロラの音」。《後編》

Writer|木原 弘貴 Writer|木原 弘貴
  • 読了目安時間:10分
  • 更新日:2018.2.7

アカデミアの世界で戦いたいからこそ、京大理学部に。

−「人生を賭けて学部を選ぶ」っていうのは凄いですね…。

天羽さん 僕は、中学まで本気でプロ野球選手になりたいと考えていて、ソフトボールに打ち込んでいていました。でも、その一方で、数学も好きでした。

具体的なエピソードを挙げると、小学生の時は、円周率がどの桁まで求められるかなどに興味を持ったり、中学生の時は、素数などに興味を持っていましたね。高校生頃には、数学に関するアカデミックな内容を理解出来るようになっていって、それらを読んでいるうちに、「あれ?俺、理学の世界に入りたいな」と思うようになったんですよね。

純粋に数学や物理が好きという、その気持ちで理学部を選びましたね。

自分の将来どうなるかは、正直まだ分からないですし、人生を賭けて後先考えずに、自分の好きなことをしているだけかもしれません。笑

司さん 僕も中学生まではサッカーが好きで、生物なんか嫌いでしたね。でも、生物の勉強は嫌いだったんですが、生き物を飼うのは好きだったんですよ。そして、色々な生き物を飼う中で、「生き物って面白いな」と思い始めていきました。

ちょうどその頃に、伯母に「生物オリンピックに出場してみたら?」と勧められて、それをきっかけに生物の勉強をしていくうち、生物の勉強が徐々に好きになっていって、「生物」が面白いと感じるようになりました。

そうすると、「ここまで自分が楽しいと思えるものに出会えたので、自分が好きな分野である生物の研究者として生きたい」と思うようになったんです。研究者になりたいと考える人にとって、京大理学部は花形的存在でしたので、自然と京大理学部に行こうと考えたんですよ。

ただ、親は、自分が京大理学部に行くことに反対でした。理由は理学部の就職率などですね。親に反対されたことで、自分の中でも京大理学部に進むことに関して迷いが生まれました。

それで考えついたのが、自分が生物オリンピックに出場して成果を出せたら、親に自分が京大理学部に進むことを納得してもらおうということだったんです。

その後、生物オリンピックで、自分の中で決めていた目標をクリア出来たとき、親に納得してもらうと同時に、「京大理学部に行って、将来アカデミアの世界で戦う」という決心がつきました。

今でも、当時の自分が、どうしてそこまでの決断を出来たのだろうと不思議に思いますが、その決断が自分にとっての原動力になっています。

高冨士さん 私は、中学生まで遊ぶのが大好きで、遊んでばっかりで、勉強もあまり好きではありませんでした。笑 

勉強はあまり好きではありませんでしたが、理科実験は好きでしたね。それに、小さい頃から、母親と、空や星をよく観察していました。そのため、理科は嫌いとは思っていませんでした。そんな私の転機は、高校一年生の時ですね。

担任の先生から、「CERNのロルフ・ホイヤー所長が日本に直線型の加速器を作る計画があって、建設予定地として、福岡の背振もしくは青森県の北上山地が候補に挙げられている。そこで今度、ロルフ・ホイヤー所長が、加速器装置建設誘致のために、福岡にいらっしゃって講演会を開催されることになった」と教えて頂いたんです。

ヒッグス粒子を解明することが出来れば、人類は宇宙の始まりを知ることが出来るかもしれないという、その話に興味が湧いたので、講演会に足を運びました。それをきっかけに理学に興味を持つようになって、高校で物理を勉強していくうちに「物理の世界は面白そう」と感じて、理学部の道に進むことを決めましたね。

司さん 奇跡的な出会いだね。

藤田さん 私は、中学一年生から高校三年生の6月の引退まで、バスケットボールにずっと打ち込んでいて、高校3年生の9月までも文化祭などの学校行事があり忙しくて、志望校についてあまり深く考える時間がありませんでした。

11月になって、学校行事などが一段落して、志望校について真剣に考えるようになったとき、家から近いという理由だけで、東大を志望していましたが、東大模試を受けている時に、「自分は東大に向いていないな」と感じ始めたんですね。

というのも、私は、昔から1つの物事をゆっくり考えて、答えを出すことは得意だったんですよ。でも、模試を通して、「東大は処理能力を試されている入試問題である」と感じたんです。

それに対して、京大はじっくり考える力を試されている入試問題であると感じました。そこから京大に傾いて行きましたね。

理学部に興味を持った理由は、小さい頃から自分の頭だけで考えることがとても好きだったので、「研究は自分に向いているのではないか」と考えたことと、入学時の段階で学科を選ぶ必要がないところですね。

今から振り返ってみると「当時の自分の選択は正解だった」と思います。


>> 次頁「自分が楽しいと思える。だから頑張れる!」

 

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