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お祭り企画にアイドルマネージャー、「好き」を追い求める芸大生。

Writer|糸田川 大我
  • 読了目安時間:11分
  • 更新日:2018.7.4

お祭り企画、アイドルマネージャー活動を通して見えた、「自分のあり方」

-アイドルグループのマネージャーもされているのですね(笑) 少し詳しくお聞きしてもよろしいでしょうか。

少しその「てら*ぱるむす」ついてお話すると、龍岸寺という浄土宗のお寺の十夜法要という行事にあわせて企画した十夜フェスというイベントの中で結成されたアイドルグループです。

彼女らは菩薩が顕現した、浄土系アイドルとして今もアイドル活動を続けています。

-すごく個性的なアイドルですね(笑) そこに松浪さんがマネージャーとして参加していると。

これもプロデューサーである私の同期が面白い人で、一目惚れというか一緒になにかしたい!と思って始めたものですね。

ただ、プロデューサーは面白いけれどすごくこだわりが強くて、自分の意見と相手の意見がぶつかってしまい、衝突したこともありました。

-なるほど。そういった苦い思い出が、松浪さんの客観的な立場で全体を俯瞰するという考え方につながったのですね。

そういうことですね。こだわりが強すぎて納期に間に合わないとか、準備が間に合わないから開催もしたくないみたいな人も多くて。

そういうのは一つの発表の機会を逃しているからもったいないなとは思ってしまうので、もちろん理想は追求しつつ、でも現実的な視点からの提供もすることが大事なのかなって。

-理想と現実的な目標との間にはギャップがあり、そこに葛藤を抱えるときもあると思いますが、どう乗り越えていますか。

自分の力なのか、他者に頼っている状態なのかを区別しています。自分の力でどうにかできることは、その責任を自分だけのものとして取れます。

でも、例えばイベントでこれぐらい集客あったら面白いよねとか、自分以外の他者に期待してしまっているときほど怖いことはなくて。

自分だけの力ではどうしようもできないところもあるから、こんな人と出会えたら、とかこれぐらいの集客ができたらといったものに対しては、現実的な最低限の目標というものをしっかり定めています。

そうしたほうが自分だけではなく、こだわりの強い周りの人も、理想を達成できなかったときの負担が軽くなるので。

-そういったこだわりの強い周りの人を説得する際に、工夫していることありますか。

私としては「人の話を否定しない」ということですね。あれって思っても、少なくともその人がそう思っているという事実に対しては肯定的な立場をとり、内容の判断はあくまでその後でします。

その判断も、自分はこうだよって思うけどあなたはどう?って聞くようにしています。理想としては、まず一度相手の意見を受け入れてから、自分はどう考えているのかなということをまとめた上で、相手に伝えるようにしていきたいです。

そう思ったきっかけは結構早くて、小学校のときに読んだミヒャエル・エンデの「モモ」という小説を読んだ時です。そこに出てくる女の子が、人の話を聞くのが非常に上手で、とにかく相手を否定せずに聞くんですね。

それで特に何かを解決してくれるわけではないけれど、その子に話していく中で解決策が自ら見つかっていくという。その姿勢に感銘を受けて、私もそんな子になれたら良いなと思って。

-では、今後松浪さんがどういう進路を取りたいかというのがあれば教えていただけますか。

修士を出た後は就職をするとは思いますが、ドクター(博士号)も取りたいです。やっぱり自分の中では好きなものをすごいと言っていたいという思いが強くて、今のところその興味対象が作品に向いているので、アカデミアに行けたらなと考えています。

でも、去年の時点では企画をゴリゴリやっていきたいとも思っていました。

結構その時々で変わるし、一年後の自分、三年後の自分がどういう物に興味を持っているかはわからないけれど、私が好きなものに興味を持って追い求めていくということは大切にしながら、将来のわからなさにも楽しみながら生活していけたらなと。

-インタビューを通して、松浪さんは好きなことに突き進んでらっしゃるな、という印象を強く持ちました。そのような生き方をしている松浪さんの立場から、人生を楽しめるようなヒントを教えてください。

やっぱり自分の好きなもの、好きなことがあるとそれだけで楽しめると思いますね。
私は中高のとき、レールに乗っているような人生でした。

周りが勉強するから私も勉強する、周りが塾に行くから私も行く、というように周りに流されながら生きていました。

そんな生活だったので、当時は自分はなにが好きなんだろうって考えても、なかなか答えが見つからなかったです。趣味は何ですかと何気なく聞かれても、答えに窮してしまうという。

でも、ある時に、私が好きなものって、自分が小学生の頃に社会の教科書を開いて、「この作品すごく好きだな」と感じたものなんだな、ということに気づきました。そういう気づきがいくつか積み重なっていて、自分が興味のあるものが段々とわかってきました。

-なるほど、好きなものを見つけるということですか。

はい。でも、見つけよう見つけようと思って見つかるわけでもないとも思います。難しいことですが、今好きなものがないって人は、まずは探すのをやめてみたらいいです。

そして、日常の雑務から離れてみて、ぼんやりと昔のことに思いを馳せてみたりすると良いかもしれませんね。

日常に忙殺されてしんどくなったときでも、これだけはできるなってものは好きなものだったりします。

もう無理!ってなった瞬間にアニメを見るって人は多分アニメが好きなんですよ。芸大生の場合だと、制作に疲れて絵を描く人が多くて、やっぱりみんな絵を描くの大好きなんだなって(笑)

-「探すことをやめてみると見つかる可能性が上がる」、というのは逆説的で興味深いです。

そうですね。後は好きなことが見つかれば、それを継続していくということも大切だと思います。

仕事という形でそれを続けていけたら一番幸せなことかもしれませんね。でも好きなことを仕事に結び付けなければいけないという強迫観念じみたものにとらわれる必要はなくて、みんながみんな好きなことを仕事にできるとは限らないし、色々な事情でそれができない人もいます。

好きなことを気が向いたときに続けていくだけでも人生は豊かになるんじゃないかなって思っています。

-本日はお忙しいところ本当にありがとうございました。松浪さんの今後のご活躍にも心から楽しみにしております。

 

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