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社会人インタビュー

かるた名人×頭脳王×首席合格者。後輩が訊ねる「粂原 圭太郎の全て」。(後編)

Writer|木原 弘貴 Writer|木原 弘貴
  • 読了目安時間:13分
  • 更新日:2019.4.26

ここ一番での集中力が勝負を決める。

-粂原さんが相手の感覚をズラすこと以外で、試合中に心がけていることはありますでしょうか?

試合中であっても思いついたことは何でもやることだと思います。一般的には利き手が右ならば身体の右側に札を置いた方が払いやすいですよね。

それを、時には左側に札を置いてみたりします。みなさんは、試合中にこのようなトライをあまりされないと思います。

でも私は「やっぱり、人生は遊びだ。」と思っているんですよ。そして、その遊びの中から新しいものが生まれてくると考えています。

だからこそ真剣な試合の中でも「遊び」を積極的に取り入れるようにしていますね。

-楽しみながら勝つというまさに横綱相撲ですね。粂原さんが逆にペースを崩された時のエピソードがあれば教えて頂きたいです。

先月行われた自身の39連勝が掛かった試合ですね。対戦相手は岸田諭さんという方でした。岸田さんは私の二つ前の63期名人を務められた方なんです。

そして、岸田さんは名人を退いた今も全国各地の大会で優勝されている実力者なんですよ。しかも私と同じく、セオリーから外れた戦術を好む方だったんですね。

岸田さん・私共に相手を崩そうとするので、その試合は読み合いが続く展開になりました。時には私が崩される場面もありました。ここ2試合はたまたま勝てていますが、共に2枚差という非常に僅差の勝負なんです。

また、岸田さんは私と同じレベルの思考をされる方だと感じています。だからこそ岸田さんとの読み合いは非常に面白いんです。試合中にも関わらず、お互いから笑みが溢れるほどに。

例えば、一枚の札の置き方一つをとっても「なるほど!そうくるか〜」といった風に奥が深かったですね。お互いの意図を感じ取りながら試合を進めていっていました。

-その僅差の勝負の中で勝ち切れた要因は何でしょうか?

技術面で言いますと、まだまだ岸田さんの方が私より上だと思います。しかし集中力の面で上回れていたことが勝因につながったと考えています。

大会の会場によっては隙間風が少し聞こえたり、観客席との距離が近く、観戦されている方の声などが聞こえてきたりする場合があるんですね。

その試合中も読手の方が歌を読み上げる直前に物音が少し響いたんですよ。もちろん岸田さんと私にもその音は聞こえていました。

そのような場合、大抵、読手の方は歌を読むのをやめて仕切り直します。先ほどお伝えした「間」の時間ですね。

しかし、その時は読手と物音が生じた地点との距離が遠かったんです。そのため、読手の方にはその物音が聞こえていませんでした。

結果、そのまま歌が読まれるという状況が生じました。このようなことが試合中に3度あったんです。

この3度とも私が札をとることが出来ました。最終的に2対2の接戦になっていたので、この3枚を取れていなければ一枚差で私が負けていたと思います。

まさにこの3枚がターニングポイントでした。やはり人生もかるたも意図しないことはあるわけで。そういう時に集中を切らさないかどうかが、その後の結果を左右すると改めて思いました。

-ここ一番での集中力が大切ということですね。粂原さんが集中力を高めるために心がけていることなどありますでしょうか?

ゲームをする時から勉強をする時に至るまで、今この瞬間に集中するようにしています。また、目の前のことだけに集中するために、先のことは考えないでいいようにしていますね。

他には食べ物とか睡眠には気を遣っています。

-睡眠はよく聞きますが、食べ物に関してどのようなに気を遣われているのでしょうか?

集中しなければいけない日には炭水化物を基本取らないようにしているんです。食べたとしても朝に少し食べるだけといった具合ですね。

特にケーキなどの血糖値を急激に上げる食べ物は血糖値を急激に下げてしまう側面もあるので、非常に気を遣いながら取るようにしています。

-集中力を鍛えるといった観点で、他にございましたらお願いします。

集中力の総量は人それぞれです。そして集中力を鍛えるには集中力の総量を増やす作業と減らさない作業の2方向が考えられます。

まず、総量を増やすトレーニングとしては普段やらないことを敢えてやってみるなどがありますね。例えば普段、右手でスマホの操作をしているなら、左手で操作してみるといったようにです。

次に総量を減らさないトレーニングとしては自動化出来ることをなるべく自動化したり、選択する機会を極力減らしたりするなどを心がけています。

自動化させる例としては、かるたを行う際に自陣の札の置き方に関して自動的に行えるように体に染み込むまで、普段からトレーニングするといったようにですね。

また選択する機会を減らす例としては、飲食店などに入った時はメニューを即決するなどが挙げられます。

-スティーブ・ジョブズが選択を減らすために毎日同じ服を着ていたというエピソードに似ていますね。集中力の総量は毎日リセットされるものなのでしょうか?

集中力の総量は良い睡眠を取ると毎日リセットされると言われています。反対に良い睡眠を取らないとリセットされないそうです。

-粂原さんご自身は昼夜逆転型の生活をされていると伺いました。昼夜逆転型の生活では良い睡眠をとれるのでしょうか?

悪いと思います(笑)

歴史を紐解いても、人間は昼に起きて夜に寝るという生活を何万年も行なってきました。その長年のサイクルで生活するほうが理想的だと思います。

しかし照明器具が誕生したことで、このサイクルの崩壊が始まったと考えます。今や人間は昼も夜も活動できるようになりました。

もともと人間の体内時計は1日25時間で調整されています。なので、自ずとずれてしまうので、昼夜逆転型の生活も仕方ないと割り切っていました。

-睡眠に関して粂原さんが気にかけていることはありますか?

寝具と朝起きた時の光の二つですね。特に後者に関して言うと、普段から「光目覚まし」を使っているんです。

光目覚ましとは起きる30分前から光を照らしてくれ、自然に起きられるようサポートしてくれるものなんです。

ただ私の場合、基本的に大会前など集中力を高める必要がある時に睡眠に対して気を遣っているイメージです。それ以外は寝ようと思っていたタイミングでも麻雀のお誘いがあれば、そちらに出向くような生活スタイルですね(笑)

もう27歳になりますが、今でも大学1・2回生と一緒になって家で宴会をします。活力を高め、日々を充実させながら過ごしています。


>> 次頁「第65期名人の私が今出来ること。」

 

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