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目標は『アベンジャーズ』レベル。特撮王国日本の再興を願う学部生に迫る。

Writer|掛川 悠矢
  • 読了目安時間:7分
  • 更新日:2019.5.20

「できることではなく、やりたいことを」京都特撮企画の今後。

-今後も特撮企画に会長として関わっていこうと考えられていますか?

トップがずっと変わらないと団体は腐ってしまうと思っているので、なるべく早く次の代に引き継ぎたいですね。でも今は活動の拠点になる部室がないから、拠点を作るまではやめられないですかね。

-機材等は全て山田さんが保管されているということでしょうか?

はい、僕含めて数人で管理していますが、一つの場所に集めたほうが効率がいいなと思っています。ミーティングや作業で集まれる場所も欲しいですね。

ヒーローの衣装を作る際に有機溶剤を使ったりするんですけど、それが人体によくなくて、臭いもキツい。現状では友達の家で換気をガンガンにしながら作業していますが、やはり専門的な造形のできる作業場所は欲しいですね。

今年から制作からは離れて広報面に回ることにしたんです。自分がいわゆる「意識高い系」みたいになるんじゃないかと思って躊躇っていましたが、映画祭などにも積極的に出展して知名度を上げていきたいですね。

今年は活動拠点を作りたいということでクラウドファンディングにも挑戦してみようと思っています。やはり、特撮を撮ろうと思ったらそのための環境が必要だとこの2年間で痛感しました。その環境も自分たちで作っていきたいなと。

-クラウドファンディングをするにあたって、どういう還元ができると思われますか?

第一には、特撮文化の保護ということですね。僕はこのままだと日本の特撮業界はもう終わるんじゃないかと思っています。まずアニメ業界と同じで環境が他国に比べ非常に厳しいですし、中国などにどんどんシェアを奪われていくんじゃないかと危惧しています。

5月末に公開されるハリウッド版ゴジラは中国資本で作られているのですが、CGの完成度には目を見張るものがあります。さらに監督を含め制作チームは日本の特撮を見て育った世代だということもあり、日本のゴジラファンも楽しめるような原作へのリスペクトがあります。日本の特撮ファンがかっさらわれる日も遠くありません。

そういう危機にある日本の特撮文化に対し、自分たちが制作や研究記録によって価値を見出していくというのが一点です。

それと、若者のクリエイティビティを活かせる環境づくりですね。就活のためのキャリア形成として活動するサークルもある中で、あまり僕らは実利目的でやっていないんです。あくまで今、打ち込むために活動している。

外に宣伝する時は「妄想を実現できるサークル」と謳っていますが、そういうやりたいことができる場所っていうのはアピールしていけたら良いなと思いますね。

-「妄想を実現できるサークル」、とても良い響きです。早稲田大学の怪獣同盟さんのような似た活動をしている団体がある中で、京都で活動をやっていく意義についてはどう考えられていますか?

早稲田の怪獣同盟さんは、都内では撮影許可が降りる場所がなくて苦労しているとのことです。他の特撮系サークルのほとんどは造形をメインに活動していて、スーツを作ってからの活動はショーや児童施設への訪問など「着る」ことに特化されています。

なのでそこを突っ込んで映像制作まで取り組んでいる点では差別化ができているんじゃないかなと思います。

-特撮の自主制作ができる特別な場所、というところに戻るんですね。

特撮なんて普通は学生で撮れないはずなんです。それが出来る場所がここにあるぞ!っていう。それから、大学生から社会人になっていくにつれて規律や同調といった社会性が求められるようになりますが、次第に乾燥していく自由な感性の部分も大事にしたいなと思っています。

社会的成長のためのコミュニティに終始せず、心の中でモヤモヤしてるものを出したり、「こういうものを作りたい」、っていうのを実現できる場所を作りたいです。できることじゃなくてやりたいことをやる、っていう。

-その言葉が山田さんの思考の根底にある気がします。最後に、今回の公式処女作「LIKE A HERO」のあらすじや見どころを教えてください。

ヒーローに憧れている青年が、同調圧力から、倫理的に問題のある人体実験に助手として協力させられるんです。ある日青年はスクラップの中から変身ベルトを発見し、悪を粉砕することを決意する…というあらすじです。

今回の作品ではアクションやCGもなんですけど、心の動きを重視しています。理想を追い求め悪に立ち向かうものの、理不尽な社会に敗れ去っていく青年の葛藤。そういう心情を想像しながら観ていただけたらな、と思います。

-本日はお忙しい中ありがとうございました!今後の山田さんと京都特撮企画の更なるご活躍に期待しています。

 

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京都大学文学部3回生、メディア文化学専修。bicyearではライターとカメラマン。写真と古着と邦楽ロックと漫画と中華料理が好き。

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