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居住空間をマシンに明け渡す“本物”の京大生バリスタ白川志、狂気の珈琲特論。

Writer|掛川 悠矢
  • 読了目安時間:7分
  • 更新日:2019.7.25

脱・酸っぱプレッソ。本物の美味しいエスプレッソを。

-白川さんは、現在「京都珈琲学部」の名義で、ネットショップで豆を売られているそうですね。ショップを見るとブレンドの種類が様々ですが、それぞれの豆の分量はご自分で研究されているんですか?

一応昔からある型みたいなものがあって、そこに則った型や派生のブレンドにはなっているんです。その中でも、僕はエスプレッソの専門で、皆がやらない本場イタリア風のブレンドになるようにしています。

僕がイタリア風のブレンドに拘るのには理由があって、日本のエスプレッソって酸っぱくて本当に不味いものが多いんです。僕は日本のエスプレッソのことを「酸っぱプレッソ」って呼んでるんですけど(笑)

-日本のエスプレッソは本当のエスプレッソではないということですか?

そうなんです。そもそもエスプレッソの定義がどういうものだかご存知ですか?

-エスプレッソの定義ですか?マシンで圧力をかけて抽出して、少量で雑味が少ないもの…でしょうか?聞かれてみると、確かに、正しくエスプレッソのことを知りませんでした。

概ね合っていると思います。もっと細かいことを言うと9気圧、つまり9,000hPaくらいの圧力で温度が90℃、20〜30秒で抽出して1ショットあたりの量が25cc前後、豆は5種類以上のブレンド…というように数値が細かく決まってるんです。それなのに日本ではブレンドの豆を使わず1種類で出していたりします。これは、本当はエスプレッソではないんですよね。

日本には外資系コーヒーチェーンが先に入ってきてしまって、エスプレッソのカルチャーはある意味飛ばされてしまったんだと思っています。そういうこともあってほとんどの日本人はそもそもエスプレッソを飲まないですよね。

-確かにそうですね…エスプレッソにはそういった文化的な流れが存在したんですね。コーヒー同好会の活動でもエスプレッソがメインの活動をされているんですか?

そうです。やっぱり、エスプレッソのイメージを苦くて酸っぱくて不味いもの、というものにしておきたくないんです。とは言っても啓蒙的にコーヒーをやるというのは本意ではないですし、コーヒーの楽しみ方は人それぞれということは言っています。

-コーヒーの楽しみ方は人それぞれということですが、一般消費者の多くは美味しい、不味いというレベルから先の“細かな味の違い”は分かっていないのでは、と思うことがあります。バリスタ側はどこまで細部にこだわっていくべきなのでしょうか?

確かにそのご指摘はもっともで、どうせ味がわからないなら安い豆を使おう!ということで豆の等級偽装が行われて問題になることもあるんです。そういうこともあって僕はコーヒーでビジネスをすることに疑問を持ちはじめてしまって。表現活動としてコーヒーをやりたいと思っていて、身銭を切る日々です(笑)

-それほどまでに熱を入れられているのですね…

どんなことをしても「本物のコーヒー」を多くの人に飲んでもらいたいです。秋に学生だけを集めたコーヒーの祭典を日本コーヒーフェスティバル協会さんと組んで開催するのですが、そこで全国の学生に自分のコーヒーを飲んでもらうのが楽しみです。


>> 次頁「「本当に美味しいコーヒー」とは。日本のエスプレッソカルチャーのこれから。」

 

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