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“理想のかわいい”に到達したい。京大工学部生が見つけた夢中になれるもの。

Writer|塩田 かりん
  • 読了目安時間:7分
  • 更新日:2019.12.29

つのつの(ペンネーム)。京都大学工学部物理工学科3回生。2018年9月からツイッター上でデジタル絵(bicyearのメディアカードデザインにも採用)を中心に作品を公開し人気を集める。直近ではアナログ絵に挑戦するなど作品の幅を広げ、今年制作した立体作品は学生のための公募展であるターナーアワード2019に入選した。絵を描くことが特別好きなわけでもなかった彼がなぜ絵を描き始めたのか。その動機と展望に迫る。

”理想のかわいい”を表現したい

-本日はお忙しい中お越しいただきありがとうございます。早速ですが、つのつのさんはいつ頃から絵を描くようになったのでしょうか。

去年の9月頃だと思います。2回生になって大学生活に少し余裕が出来たので描いてみようかな、と。

-いきなり絵を描き始めるのはハードルが高い気がするのですが、もともと絵を描くのは好きだったんですか?

それまで積極的に絵を描くことはなかったので、もともと好きだったかと言われるとわかりませんね。ただ、小学校の時、自分の絵が作品展で入賞したことは何度かあって、絵を描くことが得意だと思っていたので、「創作をやりたいな」、と思ったときに思い浮かんだのが絵でした。

-つのつのさんがツイッターで人気を集められたきっかけは何だったのでしょうか?

人気があると言えるのか怪しいところですが、初めに描いた絵がSNSでたくさんの人とつながるようになったきっかけだと思います。

百万遍にいる女の子の絵を描いてツイッターに公開したんですけど、百万遍ということもあってか京大生の友達が結構いいねしてくれて。拡散された結果、最終的にツイッターで絵を描いている人たちにも見てもらえたんです。絵を描く人や、絵を見るのが好きな人たちとつながることができたのがとても大きかったですね。

-初めからデジタルで描かれていたんですか?

いえ、その時はiPadを持っていなかったのでA4用紙にペンで描いて、スキャンしたものにスマホで色をつけました。

-今はデジタル絵がほとんどのようですが最初は違ったんですね。今回NF(京都大学11月祭り)で展示した作品は初めてのアナログ絵だと伺いました。

そうですね。とはいえ、下書きにはデジタルを利用しました。ロボットに乗っている女の子たちの絵を描いたのですが、下絵はデジタルで描きましたし、ロボットは3Dモデルを作ってそれを見ながら描きました。絵は1mmずれたらだいぶ印象が変わってしまうくらい繊細で、まだ僕にはいきなりキャンバスに描くのはできないですね。

-デジタルで下絵を描いたり3Dモデルを作ったりしてからキャンバスに描くのはとても大変な作業のように感じるのですが……。

手の込んだことをしているように見えると思いますが、さっき言ったように僕は全部決め打ってから絵を描くタイプなので、この方がいいですね。

たとえば、今回はカラフルな絵にしようと思っていたんですけど、カラフルな配色は失敗するとゴチャゴチャした印象になってダサくなってしまう。デジタルで下絵を作っておけば、失敗する前にいろいろな配色を試すことができます。それに、僕の場合ロボットをいきなりアナログで描こうとする方が時間がかかると思いますし。

-そうなんですね。デジタル絵に限らず、アナログ絵、立体作品など様々な作品を作っているつのつのさんですが、一貫したテーマがあったりするんですか?

「かわいい」を表現したいということですかね。僕はかわいいものが好きで、心の底からかわいいと思ったときにめちゃくちゃグッと来る感じがあるんですよ。自分の中にあるはずの”理想のかわいい”を表現したい、とか自分がかわいいと思うものって何なんだろうという思いで絵を描いていますね。

-つのつのさんの絵に女の子の絵が多いのも「かわいいものを描きたい」という気持ちからなのでしょうか?

うーん、それは「かわいい=女の子」だから」というより「女の子を表現するデフォルメの手法が好き」という方が大きいかもしれません。

-「デフォルメ」というのはどういうことですか?

日本ではモチーフの要素を抽出、強調して描くことを「デフォルメ」と言います。例えば、上まぶたと下まぶたと黒目を描けば、目であることが伝わります。僕がデフォルメで好きなのは例えば目のどの要素を抽出するかにしても、無数の選択肢があるところです。

自分の目をよく観察すると、まぶたと眼球の境目は陰になってはっきりしていないこと、まつげは主に目尻のほうに生えていること、目尻に黒く見える部分があること、黒目には上まぶたの陰が落ちていることなどがわかります。アニメのキャラクターの目を見てみるとこういう要素が単純化されて表現されていることが分ると思います。

絵描きさんによってどの要素を抽出するか、どう表現するかが違って、少しの違いでキャラクターの雰囲気がガラッと変わるんですよ。その自由さ、繊細さがおもしろいし奥深いと思います。

僕の描く女の子の目も簡単に書かれたように見えると思いますが、本当はこうした要素をどう表現するかに拘っていたりするんですよ。


>> 次頁「新鮮だった「純粋に楽しいから没頭する」という感覚」

 

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