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人事部のヒトリゴト

vol.042 「民間経験しかない部外者」が考える、アカデミアの歩き方。

Writer|Taketo.S Writer|Taketo.S
  • 読了目安時間:3分
  • 更新日:2018/7/12

今回は人事採用に直接は関係ないのですが、読者の皆様の中にも一定数進路として考えていらっしゃる人がいるかもしれない「アカデミア」について触れてみます。

まずアカデミアというのは、academia学界、学術研究機関というものを指す言葉なのですが、学部生1回生ではあまり使う機会がないかもしれないですね。年次があがり、研究室配属やその先の大学院進学を考え始めたときにはじめて耳目に触れるという人が多いかと思います。

そんなアカデミアで働くことや、民間との接点などを、あえて民間経験しかない私が外から見えたものをまとめてみます。(筆者が現在まで理系領域にしか接点がないので、今回は理系に限った話となっています。)

アカデミアは儲からない?


アカデミアに進んでいくかを決める際、大きな障壁になるのが経済的問題でしょう。これは、アカデミックポストがとても少なく、またポストドクトラルフェロー(任期付教員など)の職も任期付だったり、年収が同年代の民間企業勤務の同期などと比較して低い傾向にあったりすることが要因の一つと考えられます。

ただ、これは学術振興会の定めるDC1、2といった特別研究員の副業規定の改訂や、文科省と経産省が作った新しい枠組みであるクロスアポイント制度などで、研究者がアカデミアと民間企業の間を往来する環境づくりをはじめ、人材の流動性を高める動きで今後改善していく余地があるかもしれません。

その研究が「何を生み出すのか」を言語化する

企業で行う応用研究は、明確に目的があり、研究を手段として捉えています。創薬では、結果の出ない研究を続けるということもザラにありますが、しかしながら、がんを治療するなどの大目的(=利益に結びつくもの)があり、研究が進められているはずです。

しかし、大学の研究というのは純正研究なのか応用研究なのか判別が付きづらいことが多くあります。応用研究というのは、その技術がすでに商用利用に近いものである場合が多く、どちらかというとわかりやすいと言えます。

門外漢なので、絶対とも確度が高いとも言えませんが、もしも、自分がしたいことがぼんやりと見えてきたら、自分がしたいことを言語化し「その研究が生み出すバリュー」について考えてみるのもいいかもしれません。

なぜならば、研究を続けていけるということは、「文科省ひいては財務省からの予算が降り続ける」、か、「民間企業やマーケットから資金を集めることが出来る」という条件が必須だからです。

言い方が少しいやらしいですが、研究で稼げるかどうかということを、経済や国の動向という視点から視るということも大切だということです。

研究を途中で諦めたらどうなる?

私の知人で、博士後期課程を途中退学した者が何人かいます。彼ら彼女らのその後は悲惨な最後なのか・・というと存外そうでもありません。

ある人はアラサーでとあるメーカーの研究員の正社員として就職したり、ある人は経営コンサル会社でコンサルタントとして正社員として就職をしました。

ここで採用活動の領域の話になるんですが、修士卒や博士課程途中退学という学生(と言っていいか微妙なところですが)は、論理的思考力に優れている方が多い印象があります。

物事の検証や考察を我慢強く行うことに長け、結果についてすぐに可否を出さずに注意深くそれが「正しいかどうか」を確証が持てるまで、客観的に考える力を研究活動や論文執筆によって培ってきた素晴らしい人材と言えます。

まとめると、アカデミアに興味があるという学部生は自分がしたいことを言語化し、見える状態にした後、それがどのような研究として現在行われているのかを調べ、またどの程度のバリューを今後生み出す可能性があるか、を考えることが大切だということです。

そして、現在の日本ではある程度ですが、途中退学をしたドクターなどへの職も増えてきていますので、一か八かの賭けという印象が変わりつつあるように思います。

 

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