「はたらく」のミスマッチをゼロに。

spot-light

極限の地“アラスカ”での挑戦。京大理学部生が追いかける「オーロラの音」。《前編》

Writer|木原弘貴 Writer|木原弘貴
  • 読了目安時間:12分
  • 更新日:2018.1.17

京都大学理学部2年、藤田菜穂、司悠真、天羽将也、高冨士愛子。4人で掴んだ2017年度「京大おもろチャレンジ」、「京大SPEC」。3週間に渡る、極限の地アラスカでの実証調査の日々で得た「オーロラの真実」に迫る。

「オーロラを聞く」とは。

-本日はお忙しい中ありがとうございます。皆さんは今回、京大おもろチャレンジ&京大SPECに選ばれ、9月にアラスカで研究をなさったそうですが、まずは、その研究内容について教えて下さい。

SPECとは
本学では、大学を世界や社会に通じた「窓」として位置づけ、その窓を開け、風通しをよくし、野生的で賢い学生を育てることが共通の夢であり、目標です。そのため、本学が歩むべき指針として「WINDOW構想」を打ち出しました。本事業は、この構想を踏まえ、その理念に適い、本学のプレゼンスを世界に示すに相応しい学生の取り組みについて、卒業生や企業など社会から広く寄附を募って支援を行います。
本学の学生が、未知の世界に挑戦するプロセスを通じて、より一層逞しく成長することを願い、既存の価値観を超えた京大生らしい「おもろい提案」がでてくることを期待しています。(SPEC(京大生チャレンジコンテスト)より引用)

天羽さん 何百年も前から、オーロラから音が聞こえると言われているんですけど、今尚、その現象を説明する物理的モデルが確立されていないんですね。それを説明するために、自分たち4人で解明したいなということで集まりました。

そして、仮説段階の物理的モデルの1つとして「脳でオーロラの音は聞こえるのか?」があります。

まず、音が聞こえる原理に関してお話しします。音波が耳に届いた時に、耳にシグナルが、神経に信号が送られます。その信号が大脳に届いた時に音として初めて知覚されるんですね。

逆に言うと、その音波に相当するシグナルが神経に通ってしまえば、実際に音波が耳に届いていなくても、音が聞こえるとなります。これは物理的原理としては可能なんです。ただそれが実際に起こりうるのかに関しては、検証が必要なんですよね。

それを踏まえて、「脳でオーロラの音は聞こえるのか?」について説明させてもらうと、オーロラが発生するときは電磁波が地上に届いています。

その電磁波が脳の中にあるタンパク質、「クリプトクロム」に照射されることで、クリプトクロムが脳にある神経に信号を送り、それがちょうど音波に相当する信号だったときは、脳はその信号を音波として知覚するだろうと仮説立てました。

これが「脳でオーロラの音は聞こえるのか?」の概要です。

-こういった「電磁波が脳に当たることで、音として知覚される」という仮説はどのように思いつかれたのでしょうか?

司さん 電磁波が脳に当たることで、音として知覚される仮説は元々ありました。そこに「クリプトクロム」を持ち出したのが、僕たちオリジナルのアイデアです。

-では次に今回この研究に参加された経緯について教えてください。

高冨士さん 私、写真を撮るのが趣味で、オーロラを写真で撮りたいなと思っていまして、「オーロラ見に行きたいなぁ」とTwitterでつぶやいたんですよね。そしたら、藤田が速攻で反応してくれて、意気投合してという感じです。

藤田さん 私も小さい頃にテレビでオーロラを見て綺麗だなと思ってから、ずっとオーロラに興味を持っていました。当時の興味は純粋に綺麗だなとかで研究対象としてではなかったんですけど。

大学生ぐらいになったら絶対に見に行きたいと考えていたところ、誘われたのでいい機会だなと思いまして。

天羽さん 僕もほぼ同じツイートをしてまして。

高冨士さん それならこの3人で行こう!と集まりまして、ちょうどそのタイミングで「京大おもろチャレンジ」の存在を知って、これの研究予算を使って行けたらいいなぁというのが始まりですね。

天羽さん そうですね。そこで、その旨を理学部教授の柴田さんに伝えると、柴田さんの方から「オーロラから音出るの知ってる?」と言われたんです。それで、各々で調べたところ、「これはおもしろい」となり、これを研究しようと3人の中で決まりました。

それで、僕が司くんに、「今、オーロラの音に関しての研究をしようと思っていて、脳の性質的構造も関係しているかもやから、また今度話聞かせて」、みたいな感じで伝えたら司くんもすごい興味を示してくれて。

司さん 僕は元々、脳内にあるクリプトクロムについて興味を持っていました。実は最初にオーロラの話を天羽くんから聞いたときは、クリプトクロムに関する研究の最終準備を夏休みに行う予定だったので、「オーロラどころじゃない」と思って参加するつもりは全くなかったんです。

でも天羽くんからオーロラで発生した電磁波が脳に作用しているかもしれないという話を聞いて、「これはまさに僕が研究したかったことだ」となり、それで僕も参加しました。


>> 次頁「極限の地”アラスカ”だから見えたこと。」

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Twitter で[公式] bicyearをフォローしよう!