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「京都工繊大×JR」、駅をアップデートするベンチを手掛けた大学生の想い。

Writer|前田 彩友子
  • 読了目安時間:5分
  • 更新日:2019.10.29

田路健斗、京都工芸繊維大学デザイン建築学課程4回生。地域創生 Tech Program生として入学した彼が中心となって手掛けたJR福知山駅の「どっこいしょベンチ」。座学では得られないデザインの難しさとは。

JR福知山駅から見た「どっこいしょベンチ」の必要性とは。

-今日はお忙しい中、お時間を作って頂いて有難うございます。早速ですが、田路(とうじ)さんが、地域創生 Tech Programで「どっこいしょベンチ」を作った経緯を教えてください。

<Tech Programの説明>
京都工芸繊維大学が2016年から学部共通プログラムとしてグローバルな視野をもって理工系の技術により地域の課題を解決できる人材を育成し、特に京都北部の地域または産業を活性化させる技術者を輩出するために開設したプログラム。

まず、地域創生Tech Programに入ったのは、地域を良くしたいという気持ちではなくて、大学で目的をもって勉強したいというのが大きな理由です。このProgramには地域を活性化するという目的があったので、ちょうどいいな、と思って。

Techには最終プログラムとして「地域創生課題セミナー」というものがあって、あらかじめ企業と大学が話し合って決められた京都北部の地域創生に関するテーマに対し解決策を出すという授業なんですけど、僕たちのチームは「JR福知山駅のコンコースを賑やかにする」というテーマが一番面白そうだったのでこのテーマを選びました。

半年くらい調査した結果、福知山駅のコンコースには2つの問題がありました。福知山駅のコンコースは待合室より圧倒的に広く平時はほとんど人がいない状態であるということと、台風や大雪などで電車が止まってしまった時に代替輸送ができなくて人がコンコースに溜まるが座るところがないことでした。

その解決策として考えたのが「どっこいしょベンチ」でした。「どっこいしょベンチ」を置くことにより福知山駅のコンコースに人が点在するようになることが狙いでした。

-この「どっこいしょベンチ」は四角い柱の周りに円形に設置されていますが、円形にしたのはなぜですか?

円形には形自体に温かみがあるという特徴もあるんですけど、隣に座っても目線がそれぞれ違う方向に向いているので知らない人が隣に座っていてもあまり気にならないという利点がありました。

でもその円を作るのがとても難しくて、円を4等分にしてそれぞれをあわせて作ったのですが、その角と角がなかなか合わなくて苦労しました。最終的に完全な円は諦め、二十四角形にしました。

しかし、逆に円ではなく角を作ることにより、一人一人が座る区間が確保され、その方向も全く別の方に向いているのでよりパーソナルスペースが守られることに気づきました。

これは自分が将来何かを作る時に役に立つとても良い気づきになりました。


>> 次頁「社会に対して一つでも良いから何かをアップデートする。」

 

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