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“何かになりたい” 夢を求め、夢に溢れる現役京大生作家の生き方。

Writer|糸田川 大我
  • 読了目安時間:10分
  • 更新日:2018.11.16

青羽悠。京都大学総合人間学部1年生。高校生の時に執筆した小説『星に願いを、そして手を。』で、第29回小説すばる新人賞(集英社)を史上最年少受賞。作品が生まれた経緯、内容と青羽さん自身の生き方について迫る。

「何かになりたい」そんな夢を追い求めて作品が生まれた。

-本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。まず初めに、簡単な自己紹介をお願いします。

青羽悠というペンネームで作家活動をしています。この春から京都大学総合人間学部に入学しました、現在1年生です。

-青羽さんが執筆された作品「星に願いを、そして手を。」について、そのあらすじをご説明いただけますか。

もともと幼馴染で近所の科学館に集まっていた4人が大人になりそれぞれの生活を送っているときに、その科学館の館長が亡くなったことがきっかけで再会して、そこから色々な出来事が起こるという物語です。

小説内で一貫しているテーマとして「夢」があります。小説内では亡くなった館長とその奥さん、大人になった主人公たち、館長の孫の高校生という三世代を「夢」というキーワードで繋げて執筆していました。

-なるほど。「夢」というテーマにした理由はなにかあるでしょうか。

もともと僕自身が「何かになりたい」という夢を持っていました。人生で何も為さず、なあなあで死んでしまうのが嫌だなという思いが根底にあったんです。

その夢を達成するための手段として、小説を選択しました。作品の制作に必要な技術や道具が多い絵画・音楽よりも敷居が低く、ペンと紙さえあれば執筆できるところに魅力を感じたのだと思います。

そのような動機で小説を書き始めたので、「小説を書きたい」というより「何かになるために小説を書かなきゃ」という義務感に駆られて執筆していました。そういった状況で「何者かになりたい」という自分の夢が小説で本当に達成されるのかわからない、という不安と苛立ちが常に頭にありました。

テーマを考える際も当時の自分が夢に苛まれているから、夢というテーマを書こうと自然に出てきたのだと思います。

作品の中では、「夢が叶った人」「夢が叶わなかった人」「夢に迷っている人」という3種類の人間を登場させています。これも、自分自身が、「夢に迷っている」中で、夢が叶うとどうなるか、叶わないとどうなるかについて深く考えていたからです。

より身近で自分自身に近いようなテーマとその3種類の人間の話なら自信を持って書けるだろうと思いました。

-常に自分の中の夢でも葛藤があったのですね。作品が受賞を果たしたあと、自分の何かになりたいという欲求は満たされましたか。

そうですね、実際かなり満たされました。ただ、自分の中では何かになるという夢が叶ったという事実は残りましたが、小説の中でも触れているように、夢が叶ってしまった後自分はどうしようかなという漠然とした迷いや不安も感じました。

もちろん小説家としてはまだまだスタート時点にいるものの、自分の中で思考が大きく変わったきっかけになりました。

-構想から書き上げるまでどのぐらいかかったのでしょうか。

高1の4月に構想して、大体丸1年ほどかけて書き上げました。とにかく長編小説を書くこと自体が初めてだったので、全てに苦労しました。毎日ぶっつけ本番みたいな感じで執筆していたので。しかも書いている途中は面白いのかどうか分からなかったのでとても怖かったです。

-確かに初めての作品はかなり労力がかかりそうですね……。それだけ苦労されたらやはり書ききったあとの達成感はすごかったのではないでしょうか。

本当にすごかったです。エクスタシーを覚えましたね(笑) 父のお下がりの小さなパソコンで書き上げて、できたという実感が湧いたのは覚えているのですが、書いている間の記憶がその瞬間に一気になくなってしまって。めちゃくちゃ大変だったのは事実なのですが。

-受賞後の反響やその中で自分が感じたことはどのようなものでしたか。

色んな方からの反響がいただけて嬉しかったです。認められたという感覚がありました。また、受賞したこともとても嬉しかったですが、ここまで納得できるものを作り上げたという自己完結的な喜びもありましたね。

ただ、高校生らしい熱量を評価していただいた一方で、技術的なところはまだまだ粗が多いという厳しい意見も多くいただき、自分の中では悔しくもありました。

-次回作などの予定はございますか。

来年の早いうちに出すことができたらいいなという作品がひとつあります。まだ2作目ということで不安もありますが、絶賛準備中です。大学受験で1年間のブランクはありましたが、どんどん活動していきたいです。


>> 次頁「「自由」な大学で、文理の枠を超えて広い視野を持ちたい。」

 

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