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「語り」が社会を変える?現役京大生がBAR開業に挑む。

Writer|塩田 かりん
  • 読了目安時間:7分
  • 更新日:2019.3.21

山本周雅、京都大学総合人間学部 新3回生。自身が友人と語り合う中で「語り」の持つ力に気づき「語りBAR katharsis(カタルシス)」の開業に奔走する。なぜ「語り」なのか。「語り」が何をもたらすのか。残りの大学生活をバー運営に懸ける想いを伺いました。

お酒はあくまで手段。人をつなぎ、自分を再発見する「語り」。

-本日はお忙しいところお時間を割いて頂き有難うございます。まずは語りBAR katharsis(カタルシス)について教えてください。katharsisは一体どういったことをテーマにしたバーなんでしょうか?

京大生を中心に一般の方も含めて自由に語り合える場、というのがテーマです。京大周辺にも「語り合える場」はあるんですけど、ほとんどカフェや勉強する場としてしか機能していなくて、語り合うにしてもせいぜい仲間内。

ほかの人と話すことが全然ないな、と思ったので、「語り場」として「語りBAR」をつくることにしました(笑)

-あ、そうかかっていたんですね!それでは、特別バーである必要はなかったということですか?

でもお酒っていうのは結構大事だと思っています。お酒を入れることで心のハードルも下がるんですよ。あと、イングリッシュパブをイメージしているところもあります。イングリッシュパブってわかりますか?

-ちょっとイメージつかないですね……

知識人がパブに集まってお酒片手に肩組みながら飲んでいるようなイメージです。お酒が入って全然知らない人と仲良くなって、果てには政治とか規模の大きいことを考えたりするような。

そこから市民革命が起こって新しい動きが進んでいったんです。そこから着想を得てバーにしようと思いました。

-逆にお酒が入ることで酔ってしまい真面目に話ができない可能性もあると思うのですが、それについてはどう考えていますか?

難しい塩梅ですが、多少のお酒なら真面目に話はできると考えています。何杯か制限をかけたりアルコール度数を低めにしたりはするかもしれませんね。

京大周辺に飲み場として適切な場所はたくさんあるので、katharsisに来てくださる方にはうちのスタンスを理解してもらえたら。

お酒が飲めることが重要なのではなくて、語りの助けとしてお酒が役立つからバーにした面が大きいです。あくまでも手段。

-なぜ「語り」に目をつけられたのですか?

主に2つ理由があります。1つ目は、僕自身が悩んでいたときに「語り」が役立ったということです。僕の所属する総合人間学部はやりたいことがなんでもできるので、逆に何がしたいのかわからなくなるんですよね。

いろいろ挑戦して単位も取り切ってみたけど、結局何に興味があるのかわからなかった。大学生という人生を決めていく分岐点で、将来に対する不安も大きくありました。そんな中で一つの解決策を見つけたきっかけが友達と話していたときだったんです。

自分の価値観やこだわりをぶつけて、自分の考えを外に発信していくことで、自分を再発見したり自分を相対的にみられることに気づいて「あ、これいちばんいい」って。「語り」でこんな風に自身を見つめ直すことができると知ってほしいと思いました。

2つ目は京大という環境です。京大って結構特殊じゃないですか。変わっている人がいるし、総合大学なので各々極めているところがあって。でもそれぞれの交流はあんまりない。

総合人間学部はいろいろな学部の横断を目指していますが、それでも関わり合いは少ないです。ざっくり文系と理系を分けると考え方って全然違うじゃないですか。

だから語り合ってもらって考えをぶつけたら何か起こるんだろうなって。すごく淡い期待ですけど。

-中を掘っていったらどんな人でも変わっていませんか?それでも京大生に着目する理由はなんなんでしょう?

確かにそうだとは思うんですけど、京大生はその変具合が表に出てきやすいと思うんです。普通の人は変なところが出てくるまで時間がかかるけど、京大生はちょっと掘ったらすぐ変なところが出てくる(笑)

そんな京大生に刺激されて、変なところをどんどん出していってほしいと思います。


>> 次頁「SNS上の批判や親からの反対。それでもkatharsisが目指したもの。」

 

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