極極ヒトリゴト
今だからこそあえて「プラットフォーム戦略」。次代を担うベンチャーの共通点とは?
Writer|Taketo.S |
- 読了目安時間:8分
- 更新日:2017.6.5
プラットフォーム戦略という言葉をご存知ですか?経営に関わるビジネスマンであれば知っていることでしょう。今回は、次代のプラットフォームを奪取せんと輝かしい技術、アイデアを振り絞るベンチャー企業3社にスポットライトをあてます。
-目次-
・早すぎたネットワーク機能の展開。セガの失敗。
・電気自動車とIoT。プラットフォーム上で共鳴し合うベンチャーたち。
・Digital disruptor(創造的破壊者)と既存企業の対峙
まずはプラットフォームについて簡単に図解してみました。
多くの顧客、お金、情報をプラットフォーム(土台)に載せ、ある分野もしくは広範な分野のビジネスの通過点にすることで収益を得るというビジネスです。その収益はプラットフォームを通過するトラフィックの量に左右されます。
そして近年のプラットフォーム戦略を語るに上でSNSは外すことが出来ないでしょう。
ミクシィ(mixi)が流行する以前、インターネットを介したコミュニケーションの主流はメールでした。メールはテキストベースのものがほとんどで、それ以上に多くの情報をやり取りするということは出来ず、あくまでもキャリアが提供するサービスの1つでしかありませんでした。
2004年、インターネットの普及、PCの価格低下、携帯電話の高度化と処理能力の向上を背景にミクシィはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を開始しました。大学生を中心としてミクシィ登録者数(当初は紹介制)は急増しFacebookが台頭するまでの間、日本におけるコミュニケーションのプラットフォームを席巻したことは記憶に新しいです。
このように革新的な技術やアイデアによってプラットフォームを構築し、そこに顧客を載せていくということはビジネスを有利に進める上で非常に重要なことなのです。
早すぎたネットワーク機能の展開。セガの失敗。
温故知新。現況を語る前にセガの話をしておく必要があるかと思います。1988年、セガ(SEGA)はメガドライブというゲームハードを発売しました。これは同時期に発売された競合製品と比較しても圧倒的なグラフィックであり、ハードとしての魅力が素晴らしい機体でした。しかし、実はこのメガドライブはアップルやGoogleよりも早くネットワークのプラットフォームを獲りに行っていたんです。
私はWII Uを持っていますけど便利ですよね。PASMOの残高を読み込んでニンテンドーストアでゲームを購入出来ます。これと同じようなことをメガドライブも専用モデムを使ってやろうとしていたんです。
具体的に言うと、メガドライブからセガのサイトにアクセスして、最新ソフトをダウンロードや情報を取得するということです。成功していればセガはスマホ、PCメーカーになっていたかもしれません。しかし、その目論見はあっけなく失敗に終わります。
原因はいくつもありますが、やはり大きいのはネット環境などが一般層に普及しておらず、顧客側も提供者側も利用・運用コストがべらぼうに高いものであったということでしょう。さらにメガドライブのモデムを介して行う通信の速度は1.2kbpsだったそうです。ソフトのダウンロードに1週間くらいかかりそうですね。
ここでの学びは技術のインハウスとアウトソースのバランスとアライアンスです。セガは上記のネットワークサービスを自前の通信の仕組みだけでやろうとし、あまりにも高い壁に阻まれることになりました。セガサターン、ドリームキャストとハードを発表する度にセガはその色を濃くしていき、ついにハードウェアのマルチメディア化を断念します。
ビジネスを成功させるには、アイデアの秀逸さも大事ですが、実現可能性と持続性という点を無視出来ません。セガの場合はあと7-8年遅ければプラットフォームを独占していたかもしれませんね。
>> 次頁「電気自動車とIoT。プラットフォーム上で共鳴し合うベンチャーたち。」
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