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社会人インタビュー

京大・生命科学研究科から大日本住友製薬へ。エリート科学者が追いかける14歳からの夢。

Writer|ビックイヤー編集部 Writer|ビックイヤー編集部
  • 読了目安時間:6分
  • 更新日:2017.8.8

中学生の頃からがんを研究することが夢だった。

-なぜ、そこまでがんの研究、とりわけ“新薬”にこだわられるのでしょうか?

中学生の頃からの夢なんです。

小さい頃病気がちだったこともあり、進路を考え始めた中学生の頃から将来は漠然と医療に貢献したいなぁという想いがありました。そして、せっかくならより社会的に大きな貢献がしたい、高難度なコトにチャレンジしたい、と思うようになり、当時から治療困難な病気の1つであった“がん”に興味を持ち始めました。実際、中学3年生の時に卒業論文があり、自分でがんをテーマに選び発表も行いました。

-中学生で“がん”をテーマに卒業論文ですか。凄いですね!

今思えばホントお遊び程度なんですが(笑)

また私は、おじいちゃんとおばあちゃんを中学生の頃にがんで亡くしており、そういったことも少なからず影響していると思います。なので、大学選びで迷うことはほとんどなく、がんの研究が出来る大学、学部をピックアップして、その中で一番良いと言われる大学(偏差値の高い大学)を目指すだけでした。良い大学に行けば、研究に必要な設備も充実しているだろうし、指導する教授の質も高いはずだと。単純ですが(笑)

ジェネラリストではなく、スペシャリストに。

-それで京大に入学されたということですね。もちろん薬学部ですよね?

大学は薬学部ですが、大学院は違います。学部の頃から博士課程まで進もうと決めていましたが、薬学部には自身がやりたい“がん”をテーマに扱える研究室がなかったので、大学院に進む際に医学部などの他学部も検討し、最終的にがんに関する研究が行える生命科学研究科に進学しました。

-本当に「がんの研究」を中心に進路を選ばれていたのですね。

そうですね。ただ大学院に入ってからは、紆余曲折ありましたよ。

-と、いいますと?

実は博士課程での研究が全然上手くいかず、一度研究を挫折してしまいました。実際、大学院を辞め就職しようと、就活も始めました。

-相当な挫折だったんですね。

この時まで大きな挫折を味わったことがなかったので、挫折への耐性がなかったんだと思います。やってもやっても実験がうまくいかず、自分は研究に向いていないんじゃないかと本気で悩み、落ち込みました。

-そして、就活を?

ですね。私はこれまで「がんの研究をする」ということだけを考えて進路を選んできたので、それ以外の選択肢を全く検討してきませんでした。そこで就活ではこれまで専門的に学んできた生物系や医療系などに縛られず、幅広く目を向けてみたくて。もしかしたらがんの研究以外にもっと自分に向いている道があるんじゃないかと。

-興味を持てた業界などありましたか?

コンサルは面白そうだなと思いました。研究は挫折していましたが、考えるコト自体は好きで向いている方だと思っているので、企業の課題を解決するコンサルならと。お恥ずかしい話ですが、この時まで世の中にコンサルという職種があることを知りませんでしたが(笑)

-研究者とコンサルに共通する部分は多いかもしれませんね。しかし最終的にはコンサルへの道を進まず、研究に戻られたんですよね?それはなぜでしょうか?

会社説明などで話を聞き、コンサルも面白そうだなと思ったのは本当です。実際に面接を受けたコンサルファームもいくつかあります。しかし、コンサルのことをより深く知っていくうちに、彼らには専門分野が存在しないんじゃないかなと感じ始めました。ジェネラリストといいますか・・・。私はスペシャリストへの憧れが強かったので、そういった意味でコンサルは自分の求めているモノとは少し違うのかなぁと。「自分、○○なら誰よりも詳しく語れますよ。」みたいになりたいんです。

-なるほど、スペシャリストですか。確かにコンサルより研究者の方がスペシャリストに近いですよね。

あと就活中って、やれ新聞を読め!だとか、ニュースを見ろ!とか言われるじゃないですか。

-日経新聞とか?

そう、日経。でも新聞を端から端まで読むなんて私には大変で続けられなかったから、目についた記事だけをいくつか読むようにしていたんです。で、ある時ふと気づいたんですが、自分の目に留まる記事ってほとんどがバイオだったり、医療だったりの生物関係だったんですよ。この時、自分はこの分野にまだ強い興味関心があるんだなぁと再認識させられたんです。

-無意識下でも選んでいたんですね。

みたいです。実験が上手くいかず苦しいけど、やっぱりこの道が自分が一番やりたいコトなんだ、この道を究めようとこの時、思い直しました。


>> 次頁「よりスピードを意識した研究スタイルに。」

 

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