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社会人インタビュー

京大、篠原教授に訊く「マイクロウェーブとベンチャー、時々若者の未来」1/3

  • 読了目安時間:9分
  • 更新日:2017.8.10

京都大学在学中に「宇宙太陽光発電」と出会い、研究に没頭。そして現在は教授職に就き、研究の傍ら教鞭も振るう篠原真毅教授。篠原教授の研究内容、研究の中で感じた想い、そして更には私達若者の「在り方」について3記事に渡って掘り下げていく。

「しなやかほっこり社会」を実現させるための法整備を。

−この度は大変ご多忙の中お時間を頂き、本当にありがとうございます。早速ですが、まずは篠原教授のご研究内容である、「マイクロ波エネルギー伝送」について伺わせて頂きたいです。京都・精華町で、電気自転車などのワイヤレス充電の実証実験が行われているというニュースを拝見しました。その実験が開始した、いきさつをお尋ねしても宜しいでしょうか。

参考ページ
マイクロ波エネルギー伝送とは
京都新聞「ワイヤレスで電動自転車に給電 京都・精華で実験スタート」
篠原教授の研究室のHP

分かりました。国立機関であるJST(科学技術振興機構)が推進する、COI (Center Of Inovation)というプロジェクトに京都大学の研究プロジェクトの一員として参加したのが、そもそもの始まりですね。京都大学のCOIの目的は、人々が安心・安全に生活できるような「しなやかほっこり社会」を構築することです。

参加当初は、シニアカーへのワイヤレス給電に着手していました。あの、街ナカでよく見る、1人乗りの凄く遅い速度で走る三輪車みたいなやつです。ご老人の方って、あまり機械にお強くないじゃないですか。電池が無くなったら充電してくださいねとお伝えしても、やっぱり難しい。そこで、ワイヤレス給電の技術を用いれば、ご老人の方でも簡単に充電してもらえるようになると。

最近だと、IOTに用いる「センサー」向けにワイヤレス給電を行う、ということにも取り組んでいます。IOT社会では、様々な情報を集めるために膨大な数のセンサーを利用することになります。ただ、センサーだって電力を必要とします。

そんな大量のセンサーに電池をつけて、それが切れる度に人力で交換していてはキリがありませんよね。センサー向けにワイヤレス給電ができれば、電池をいちいち取り替える必要性がなくなります。この技術は、介護や子育てのみならず、災害インフラのような部分にも応用が可能です。

しかし、法律の壁がワイヤレス給電には存在しています。簡単に言うと、電波って整理しないと簡単に「混じり合っちゃう」んですよ。このせいで、日常の場面でもTVが干渉したり、携帯が場所によって繋がりづらくなったりするんです。こうした電波の干渉を防ぐために、電波法によって、TVはこの周波数、ラジオはこの周波数、といったように帯域が定められています。ところが、「ワイヤレス給電用」の電波って今現在では定められていないんです。

だから、研究室の実験設備(電波暗室)の中で実験を行ったり、実験用の電波局を取得して実験する分には大丈夫なのですが、無許可で実用化や実験を行うのは、法律上アウトになっちゃうんです。

ワイヤレス給電の研究実績はあるけれども、法整備が追いついていないという「ギャップ」が存在しているわけです。でも、「しなやかほっこり社会」を実現させるには、そのギャップも埋めていかなければなりません。

そこでなんですが、COIとは別で3,4年前に、安倍首相が関西圏にイノベーションの原点となるような、「特別行政区」をいくつか設置してくれるといったことがありました。COIも関西圏のプロジェクトです。そして京都府のみならず、精華町もCOIを応援してくれていたので、交渉を経て精華町で特区としてCOI研究を進めていこう、となりました。

特区認定された精華町では、特定の実験に関しては、電波暗室の中でしかできない実験も「外で」行うことができます。電波暗室内では理想的な環境での実験ができるんですが、裏を返すと、物が置いてあったり、人が歩いていたりする日常の環境とは異なっているわけです。

そういった環境で実験を行ったことで、ワイヤレス給電が電波暗室の外でも活用できることを確認することができました。


>> 次頁「技術革新の必須条件は、確実なビジネスモデル。」

 

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