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社会人インタビュー

クレヨンからプラズマへ!?サクラクレパスが京大で進めるプラズマ研究の謎に迫る。

Writer|遠藤 季夏 Writer|遠藤 季夏
  • 読了目安時間:14分
  • 更新日:2018.6.19

総合文具メーカーとしてトップの地位にあり続けるサクラクレパス。近年、技術を応用・転用しプラズマ処理分野における評価用色材の研究を加速させている。今回は、サクラクレパス京大桂研究センターにおける研究や取り組みについて、サクラクレパスの目見田課長(中央研究所)と大城課長(PI事業部)のお二人にお伺いしました。

エレクトロニクスのものづくりに欠かせない「プラズマ加工」の分野へ。

-本日はお忙しい中、お時間を頂きありがとうございます。早速ですが、サクラクレパスが、どのような企業で、どのようなサービスを展開してこられたのかをお聞かせいただけますか。

大城課長 社名の通り、クレパスやクレヨン、クーピーといった筆記具がメインの商品です。 また、鉄鋼マーカーなどの工業分野で使う筆記具もございます。

そのほかに医療分野でも実績があります。例えば、これは”滅菌用”のインジケータです。この場合のインジケータというのは試薬や試験紙のことです。

病院では院内感染の元になるので、医療器具を使いまわす時には必ず滅菌というプロセスを踏まないといけない。

その時にこのインジケータを器具と一緒に滅菌装置に入れて、器具を取り出した際にインジケータの色が変わっているかを見ることで器具が滅菌済みか未滅菌かを簡単に見分けることができるんです 。

このインジケータがなければいちいち菌を培養したりしないと判別できないので、非常に大変な作業になるんですよ。

-そうなんですね。「サクラクレパス」と言えば文具メーカーだと思っていました。

大城課長 メインは文具ですが、事業領域としては非常に広いですね。今は、エレクトロニクス分野にも進出しています。

これは、病院の分野において、滅菌方法の1つにプラズマ滅菌というやり方があるんですが、それ専用の滅菌インジケータとしてプラズマで色が変わる「プラズマインジケータ」を作ったのが始まりです。

-プラズマと聞くと、プラズマテレビくらいしか馴染みがないんですが、そもそもプラズマって何なんでしょうか。

目見田課長 一般的には第4の形だとよく言われますよね。固体・液体・気体っていうのはみなさんご存知だと思うんですが、気体になった物質の分子に、さらにエネルギーをかけていくことで、ある程度ひとかたまりになっていた陽子・電子・中性子の中から電子が飛び出してしまった状態になります。

本来は、原子核の周りに陽子と同じ数だけの電子が存在していて安定しているんですけど、そこから電子が飛び出すことで不安定な状態になってしまったものなので通常の状態では存在しません。

-なるほど。では、そのプラズマを用いたプラズマ加工とはどのようなものなのですか?

目見田課長 大きく分けると、化学的な反応と物理的な反応がありますね。今申し上げたように飛び出した電子だったり、電子が不足している「ラジカル」だったり「イオン」だったりが存在することになります。

化学的な反応・機能という面では、そういうものが対象物に当たることで電子を取り込んだり取り入れたりして、酸化還元反応が起こります。

また、物理的な反応・機能という面では高い電圧をかけていますから、イオンとなった分子がすごいスピードで対象物に当たって弾け飛ぶことで、”対象物を削り出していく”ようなエッチング(Etching)というものがあります。

-酸化還元反応とエッチングですか。それはどのような製品に使われているんでしょうか。

目見田課長 代表的なのは半導体の加工ですかね。フォトプロセスと言うんですが、シリコン板の上にレジストという感光性のある保護膜を塗って、そこにフォトマスクというパターンに通してUVを当てると、UVの当たった部分が固まる、もしくは柔らかくなるので、狙った部分だけ保護膜を取り除いたりするときにプラズマ処理(ドライエッチング)を行い、必要な部分だけに保護膜をはった状態にできるという技術があります。

-塗装する時に使うマスキングテープのような感じですか。

目見田課長 そういうことになりますね。マスキングテープと一緒で、最後には保護膜を取り除かなければいけないんですが、この時にもプラズマ加工が用いられることが多いです。

大城課長 膜をつける、削る、綺麗にするというこの3つが主な用途です。CPUとかメモリとか色々あるじゃないですか。あれの中身の極めて微細な、数ナノメートル単位で回路を作る工程で使うんです。

-数ナノメートル!ものすごい小ささですね。

目見田課長 化学的に分子を反応させるので、本当に小さなものになりますよね。

大城課長 ただ、そういう微細なところから、実体が出てきて実際に組み立てるところまでプラズマ加工は用いられているんです。

もともとは、最終的なプロダクトとは離れた半導体加工という上流の工程で使われていた技術ですが、どんどん最終的なプロダクトに近い下流の工程で使われるようになってきていて。今では、エレクトロニクスのものづくりには欠かせない工程なんですよ。

-半導体以外でもプラズマ加工が使われていたりするんですか?

大城課長 分野は幅広くて、車の部品の接着にも使われています。車って燃費をあげようと思うと軽量化という方法がメジャーなんですけれど、そうすると金属の部分を樹脂にしたりするんですよね。

樹脂にするとネジ止めとか溶接とかができないので、何をするかというと、接着することになります。ここでプラズマ加工が出てきます。プラズマ加工すると接着しやすくなるので。

それから、医療分野でも色々な研究がされています。滅菌もそうなんですけど、治療にもプラズマ加工を使えるんじゃないかということで、大学で研究が進められていますね。

-プラズマでがん細胞を壊すとかですか?

大城課長 そういう感じですね。いざプラズマを治療に使うとなると、治療する前にプラズマの出力具合を管理しなければいけなくなりますので、その時にプラズマインジケータの出番があるかと思います。

-本当に幅広いですね。

目見田課長 本当にそうなんですよ。実際のお客様のところに行ってみても「こんなところでプラズマ加工を使っているのか!」っていうようなことが結構ありますからね。


>> 次頁「「色でお客様に貢献する」というサクラクレパスの想い。」

 

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