「はたらく」のミスマッチをゼロに。

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夢を追い求めるオーケストラ。「本当に人を楽しませる」とは。

Writer|細辻 あおい Writer|細辻 あおい
  • 読了目安時間:8分
  • 更新日:2018.11.7

米本明(よねもとあきら)、同志社大学3回生。地元名古屋のアマチュアオーケストラ、「トラオム祝祭管弦楽団」総監督兼指揮者。自ら立ち上げたオーケストラの結成までの過去、現在、そして未来。“本質を追求する”彼の生き方に迫る。

「無いなら作るしかない!」理想のカタチを求めて。

photo by @ugaugastagram

-本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。さっそくですが、トラオム祝祭管弦楽団の結成までの経緯を教えてください。

僕はもともと東海高校のオーケストラで指揮をやっていたのですが、ここのオーケストラは珍しく演奏会での全ての演目を、学生が指揮するんです。全部生徒だから指揮者と演奏者お互いに言いたいことを言い合えるし、普段から本番を想定した練習ができる。

一度は大学でオーケストラに入ったのですが、大学のオーケストラは東海高校とは違ってプロの指揮者が本番来るという形式なんですね。本番違う指揮者が来るとなると学生だけであんまり勝手なことはできません。そうなると普段の練習は音程とかタイミングの調整に限られてしまう。全然面白いと思えず、すぐやめてしまいました。

僕は、音楽の本質を追求していったら形式的な部分も上手くなるでしょっていう考えで。初めは大学オケを改革しようとも思ったんですが、「あの名門の東海高校のオーケストラで指揮をやっていたんだぞ」というプライドで驕り高ぶったような態度とってて。

その時に言っていたことは間違っていないと思っていますが、結構嫌なやつでしたね(笑)
それで、じゃあ普段からそういう練習ができるオケを作ろう!と。

-そこで「作ろう」という発想に思い至ったきっかけなどあるんですか?

「無いなら作るしかない!」って感じです。高校の同期と話しているとみんなも同じように考えていて。高校時代の方が楽しかったと。「じゃあ作るか!」となったんです。

-行動力がすごいです…。それで、その少人数からどうやって人を集めたんですか?

まず、オケをやるのには最低でも50人は必要です。他のアマチュアオーケストラは、海外で活躍しているような指揮者を呼んで、指揮者ありきで人を集めることが多いと思います。

同じ方法でいくと、米本って誰?同志社の学生?参加するわけないじゃん!ってなる、それなら「曲で勝負しよう」と考えたわけです。そして他のオーケストラでは簡単には真似できないような演目として劇付随音楽「夏の夜の夢」を選びました。

-内容で他のオーケストラとの差別化を図ったわけですね。夏の夜の夢は、普通の曲とはどのように違うのですか?

劇付随音楽なので、曲と曲の間にナレーションや劇が入るんです。そのためにナレーターや歌手や合唱なども集めないといけない。だから他のオーケストラはやらないんですよ。

-それをどうやって宣伝したんですか?

宣伝は全部口コミなんです。高校時代の部長がアマチュアオーケストラ界隈で顔が広く、その人がキーマンでした。僕一人では力不足だったので、彼を説得しないことには人を集めることはできなかった。でも彼すごい慎重派なんですよ。

僕が夏の夜の夢をやりたいと持ちかけた時も、まず「無理だ」「めちゃくちゃ面白いと思うけどそれほんとにできるの?」と言われました。

-現実的な考えを持った人だったんですね。その人をどうやって説得したのですか?

彼の心配要素は、演奏者やソロの歌手を集めることができても、合唱団やナレーターをどうするのかということでした。じゃあその最難関のナレーターさえ落とせば、彼を動かすことができるんじゃないかと、僕は最初にナレーターに手をつけました。そして親のツテを使って、ナレーターをやってくれる人を見つけ出し、承諾を得ました。

それで元部長の彼に、「お願いできたから!」と事後報告して。そうなるともう彼は「うん」と言うしかないじゃないですか。もうお願いしちゃったし。そこから動き始めました。ホールをおさえて歌手も呼んで。演奏者も最終55人も集まりました。


>> 次頁「演奏会の成功と団体としての成長。そしてこれから。」

 

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