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“何かになりたい” 夢を求め、夢に溢れる現役京大生作家の生き方。
Writer|糸田川 大我 |
- 読了目安時間:10分
- 更新日:2018.11.16
「自由」な大学で、文理の枠を超えて広い視野を持ちたい。
-とても楽しみにしています! では少し話題を変えて、青羽さんご自身についての質問をさせていただきます。もともと京都大学の総合人間学部を志望した理由について教えていただけますか。
もともと高2の時は理系で、高3のときに文系に変えました。これは数学がそこまで得意ではなかったことと、小説も書いていたことがあって、なんとなく自分は文系寄りなのかなという感じがしたからです。
受験勉強としては文系のほうが得意だったんですね。ただ、やっぱり理系への未練というのがありました。そんなときに、京大の総合人間学部(以下総人)のオープンキャンパスに足を運んでみたら、色々できそうなところじゃん!という感銘を受けまして。
ここならまだそういった迷いのある僕を、懐深く迎え入れてくれるだろうという印象を抱きました。実際その後調べたところ、総人というのは学際的な分野を広く修めていけそうな学部だったんですね。文理の枠を超えて広く考えられるような人間になりたかったので、総人は自分の性に合っているだろうと思い、申し込みました。
-出身は愛知県とのことですが、執筆活動に専念するとしたら、学歴とか関係なく手近な大学に行こうとは思わなかったのでしょうか。
やっぱり自分の中では執筆活動に振り切っていないのだと思います。勉強も好きだし、今でも小説以外にも自分のやりたいことはあります。勉強面で妥協をして選択肢を狭めたくはなかったです。学力面では東大にも手応えのあるレベルだったのですが、京大に行きたかったということも大きいです。
高校の先輩が京大に多くいて、その方達が京大の非常に自由な雰囲気で楽しんでいるのを見て、面白い人が多いのかなという印象を持っていました。
あとは京大出身の小説家、森見登美彦さんや万城目学さん、貴志祐介さんといった方の小説を読んで京都の雰囲気に惹かれていたというのもあります。
-実際に入学してみてどういったイメージを抱きましたか。
みんな非常に頭がいいです。あとは意外とみんな真面目(笑) 授業にもちゃんと出席するし、いやでもこれは当たり前なんですけど(笑)
でも本当に頭がいい人が多いというのは強く思いました。僕の発言に対して、深い知識を噛み砕きながら話を広げてくれたり、教養とウィットに富んだものを乗っけてくれたりする。話していて心地がよく、尊敬できる人が多いなと思いました。
それと、皆さん懐が広い。大学でする学問は、世間一般からは難しかったり何の役に立つか分かり難かったりして受け入れられないということがあると思うのですが、その反動で相手の持っているものをポジティブに受け止めて、まるごと受け入れた後に反応を返してくれるという風土が備わっていると感じました。
そこはとても大事な考え方だなというのは思いますし、とても過ごしやすいです。考えに対する懐の広さが思考の自由を生んで、京大の自由な校風を生み出しているのだと思います。
-まだ入って間もないので、一般教養の授業しか取られていないと思いますが、今まで受けた中で面白かったなという授業はありましたか。
今は有人宇宙学という分野の学問に興味があって、そこの研究や講義に参加しています。もともと総人に入った理由も踏まえて、自分は人文系も自然科学系も幅広く授業を取るんだろうなって思っていました。
でも、蓋を開けてみると1年前期で履修した授業はほとんど自然科学系だったんですよ(笑) やっぱり自分は自然科学に興味があったのかなと改めて確認できましたね。文系の括りに入れられる地理なども、地球科学的な視点から見ていましたし、小説でも人工衛星や星の話を出していますし。
-有人宇宙学ってどのような学問なのでしょうか。
僕が参加している講義では、150人のコロニーを月面にどう作るか、どういった人間をそこに連れて行くか、人間にとって危険な環境である宇宙にどのように対処するか、といったことを学んでいます。ざっくり言うと、人間が宇宙に行く意義や方法を考える学問です。
僕は生身の人間が宇宙という厳しい環境にどう挑むかというところに魅力とロマンを感じます。人が誰も行ったことのないところに行くということで、生の経験が得られるし、そこは凄いことだなと強く感じます。
講義で学んだことですが、人間が宇宙に挑戦することは進化の過程なんですよね。かつて人間は地球という枠内でいわゆる新大陸を発見して、原住民との文明の衝突を通じて発達していきました。
こうして現在まで人間という種が膨張して、その膨張した先、次に目指すのが地球を超えた宇宙だろうと。こういった人文社会学的な側面にも触れることは有人宇宙学の興味深い点の一つですね。
>> 次頁「ジャグリングや執筆活動に共通する「生き方」。」
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