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見られ、魅せる存在へ。京都大学応援団リーダー部長の語る、応援団員としての「生きざま」。

Writer|中村 達樹
  • 読了目安時間:9分
  • 更新日:2020.1.23

応援団員としての「生きざま」

-新入生の皆さんへのメッセージを頂きましたが、リーダー部は部員不足で存続の危機に瀕していると聞きます。

リーダー部に限らず、団全体でも団員は決して足りているとは言えないですね。団員が50人や100人いれば、いくつかの分隊を作って同日に多くの対象の応援に行けるのですが、現在の団員は三部を合計しても18人なので、分散した際に組織だった応援形態を維持することが難しい。

そのためどうしてもスケジュールの都合で応援対象が限定されてしまう、という問題をすでに抱えています。

特にリーダー部は現在自分を含めて3回生が2人いるだけで、下回生が1人もいないので、今年新入部員が入らなければ途絶えてしまう状況になっています。

-苦しい状況ですね……。

そもそもリーダー自体ブラスやチアと比べて知名度が低いのも一つの原因かもしれません。その中でいかにリーダーの魅力を伝えていくか、というのは難しい課題ですが、試行錯誤して取り組んでいます。

自分自身、リーダー部に入ったきっかけが先輩方の丁寧で心のこもった指導にあったので、それを新入生にも伝えていきたいと思っているのですが、なかなか難しいですね。

新歓でいきなり拍手や型をやらせて「音が小さい!」「声出せ!」と熱く語りかけても、やはりその熱さが響く人は限られるのかもしれませんし、響かせることができなかったのは僕たちの力不足です。実際、ここ2年の新歓ではその点が上手くいかなかったのだと思います。

そうして新入部員が入らない時期が続いているうちに指導経験も積めなくなり、また部員を入れることが最優先事項になってきているがゆえに、後輩に対して厳しい指導をすることがどんどん難しくなっている、という点は大きな課題になっています。

-それでも先輩方から受け継いだ指導をやめるわけにはいきませんよね。

そもそも「見ず知らずの新入生一人ひとりに全力をもって接する」という姿勢自体、応援活動にも通底するものだと思います。交友関係をある程度深めてはいるとはいえ、やはり他人である応援対象に真剣に向き合わなければ、心に響く応援はできませんからね。

そして何よりも「至誠」、すなわち誠を尽くすということを、リーダー部及び僕自身の方針として掲げています。何が正解かわからない中でも、応援対象、大学の関係者や先生、団員といった応援団に関わる全ての方々に対して、どれだけ誠意をもって接することができるか。また誠意を見せることができるか。この点だけは譲れません。

合理的な練習・指導の探求はもちろん必要ですし、実際積み重ねてきてはいますが、それ以上にいかに誠を尽くせる後輩を育てられるか。またその過程で、いかにそれまでの限界を超えさせて、尽くせる人間を形成できるか、といった部分は大事にしていきたいと思います。

-一方で、厳しさや伝統に対する世間の風当たりも強くなっているのも事実です。

その風潮に関して、僕が意見できることはあまりないと思います。

ただ言えるのは、応援団という「見られる・魅せる」組織の一員である以上、世間からどう見られるかは常に意識しなければならないということです。

応援することを第一に考える以上、応援対象や世間が応援に何を求めているのかを敏感に感じ取り、それと真摯に向き合い、もしそれに変化が生じているのなら自分達の方が変わっていかなければならないと思います。自分達の姿が何でも記録として残ってしまう今の時代なら尚更です。

もちろん僕にも今まで厳しい練習を耐え抜いてきたという自負はありますし、より上の世代の先輩方であれば一層その自負も強いのかもしれません。

ただその伝統以上に、未来に対する責任の方がずっと重いと感じていますし、これからの応援団をどう作っていくか、という問題が何よりも優先されるべきだと思います。

-やはり「見られる」ことを第一に考えていらっしゃるのですね。

はい。第六十四代京都大学応援団の理念として「鑑たれ」というものがあります。応援団員は全力を尽くす姿を見せながら、応援対象に向き合わなければならない。また応援対象がその姿を見て成長していくなら、自分もそれに合わせて成長し、相互に無限の成長を遂げていかなければならない。

自らの姿を「見られる」ことによって他者を「魅せ」、影響を与えることを目的とする応援団員である以上、自分自身とも他者とも真摯に、誠を尽くして向き合ってゆく。そういった応援団員としての「生きざま」を、これからも体現していきたいですね。

-最後になりますが、これから入ってくる新入生とどう接していきたいと思いますか。

基本的には先輩方から受け継いできた生きざまを体現し、それを後輩にも伝えていきたいと思います。ただ、これから入ってくる後輩がどのような人間かはわかりません。その中でただ伝統を押し付けるだけにならないように、個々の後輩と真摯に向き合い、誠を尽くして接していこうと思います。京都大学応援団、そしてリーダー部には4年間頑張るだけの価値があると、自らの姿をもって伝えていきたいですね。

-本日はありがとうございました。今後の応援団の繁栄、そして竹内さん自身の「生きざま」の体現の成就に期待しております!

 

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