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社会人インタビュー

伝えるべき情報を、伝わるように。デジタル化戦略に見る「次代の新聞社」。

Writer|掛川 悠矢
  • 読了目安時間:8分
  • 更新日:2020.4.1

一人一人に、デジタル化への当事者意識を。

-ここまで、デジタル時代で、新聞社が置かれている状況が変化してきたことについてお聞きしました。それも踏まえ、今後新聞社は会社全体としてどのように変わっていく必要があるでしょうか。

まず、取材をして情報を伝えるという仕事は社会的にまだまだ必要とされていて、ウェブメディアやNetflix、Spotifyといった競争相手が出てきたことで自信を失う必要はないと考えています。

一方で、デジタルの方向に向かっていく中で、社内に温度差があるというのが難しいところです。もちろんデジタル編集部という組織があって、デジタルに舵をきっている最中なのは確かですが、これからは記者一人一人にもデジタル化に向かう当事者意識が必要になります。

-当事者意識ですか。

例えばスマホで記事を読む場合を考えると、1行あたりの文字数は紙面より多いし横書きになります。これを踏まえるとこれからは原稿を横書きで書く方がいいのかもしれません。

現状では縦書きで書いています。見出しもデジタルでは事情が違っていて、紙面なら見出しは記事の内容のまとめでいいのですが、デジタルで同じようにすると読まれなくなってしまいます。

勿論内容と全く違う見出しではダメですが、クリックしてもらうための見出しを書く必要があります。それで今は見出しもデジタルの人間がつけていますが、本来は記者がやることですよね。

それから、分かりやすいものではSEO(検索エンジン最適化)の対策で表記を工夫する例もあります。新聞紙面ではオリンピックのことを「五輪」と書きますが、Googleでオリンピックの情報を探している人は「オリンピック」と検索しますよね。

どこかに「オリンピック」というワードが入っていないと検索に引っかからないかもしれません。海外のスポーツ選手のカタカナ表記が複数あって、例えば「ロナウド」だと出てくるのに「ロナルド」だと出てこない、というようなことも考えられます。こうした部分でも工夫をして記事が読まれるようにする必要があります。こういうことをするというのが当事者意識であって、先ほども話したように、どう伝えるかということを考えるということです。

-なるほど。会社全体でデジタルに意識を向けていくことが重要だということですね。

というのも、こういったことをデジタルに任せるのは二度手間だからです。今は記者が仮見出しをつけて、デジタルで直して出していますが、最初の段階でやってしまえばいいことですよね。

実際にこれからは一人一人がデジタルに主体的に関わっていく流れになると思いますし、これからもっとデジタルに関心のある学生に入ってきてほしいと思います。

-この記事の読者にはこれから就活を迎える学生も多くいると思います。最後に新聞社の人間として学生へ何かメッセージをお願いします。

僕は他の仕事をしたことがないので他と比べて優れているということは言えませんが、1つ言えるとすれば色々な人に話を聞いてみてください。実際に話を聞くとイメージと違うということはあるでしょう。

新聞社も思われているほど変なところではないと思います。それに、歴史の一場面に立ち会って、情報を読者に伝えることができる魅力は何事にも代えがたいです。これからの時代でまだまだ重要な仕事だと思っています。

-記者の仕事に関心がある人や、あまり知らない人にとっても有意義なお話だったと思います。本日は貴重なお時間をありがとうございました!

 

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