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<デザインプロジェクト>伝統工芸×学生が生み出す、新たな波。(第二回)

Writer|ビックイヤー編集部 Writer|ビックイヤー編集部
  • 読了目安時間:3分
  • 更新日:2018.9.21

伝統工芸である鬼瓦を手がけてきた、美濃邉鬼瓦工房。古くから継承されてきた技と想いを、京都大学インカレサークルKeyElementと京都市立芸大の学生たちが現代のプロダクトに昇華させるプロジェクト「MINOBE DESIGN PROJECT」。第二回はデザイン案の一部ご紹介と試作品の制作過程をお届けします。(前回の記事はこちら


8月終わりの京都市立芸術大学。台風の迫る中、本プロジェクトのデザインを担当する陶磁器専攻の安田さん、彫刻専攻の松尾さんと共に彼女らのデザイン案を試作品としてカタチにしました。

安田さんのデザイン案である「猫のあくびスピーカー(写真左)」は工房見学時に見せて頂いた虎の役瓦(写真右)などから着想し、スマホ向けのスピーカー兼スタンドとして仕上げています。(工房見学の様子はこちら

上部からスマホを挿し込み、あくびをした猫の口から音を出す作りをしていますが、実際にユーザーが使用するシーンを考えると、“充電しながら”使えないとユーザビリティを大きく損ないます。

そこで試作品の制作過程でスマホの立てる位置・向きなどを適宜調整し、充電ケーブルとの緩衝などを一つ一つ確認しながら作業を進めていきました。

一方、松尾さんのデザイン案である「提灯のアロマキャンドルホルダー」は、瓦の特性の一つである吸水性を活かしたプロダクトです。

キャンドルホルダー自体が水気を含むアロマキャンドルの香りを吸収、吸収した香りをキャンドルの熱で気化させることで、香りの拡散範囲を拡げ、より広範囲で香りを楽しんで頂けることを目指したプロダクトになります。

デザインは提灯をモチーフにしたシンプルなデザインですが、細部までこだわっており、実際に美濃邉鬼瓦工房でも使われている梨地仕上げ※1という伝統技法を取り入れています。
※1 シボ加工(表面処理)の一種。果実の梨の表皮に似せた、細かい粒々状の突起のある仕上がり。

もちろん、猫のあくびスピーカー同様、ユーザビリティについても配慮しており、キャンドルの出し入れをスムーズかつ簡便にするため、下部接地面がそのまま開くというギミックを採用しています。

まだ焼成※2前ですが、どちらも本プロジェクトに相応しいプロダクトとなる予感がしております。
※2 セラミックス (陶磁器,耐火物などの原料や器物) の製造工程の最後に行われる高温加熱工程をいう。普通,原料を高温加熱することにより安定した構成化合物とするとともに,一定の形状と強度を確保することをおもな目的として行われ,物質の性質を決定する工程として重要である。(引用元:コトバンク

他にもデザイン案がいくつかあり、様々な検討をしていますが、今回ご報告できるのは残念ながらここまでとなります。

次回は、試作品の焼成過程などをお届けできればと考えております。

 

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