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WORKS with Key Element

<デザインプロジェクト>伝統工芸×学生が生み出す、新たな波。(第三回)

Writer|ビックイヤー編集部 Writer|ビックイヤー編集部
  • 読了目安時間:2分
  • 更新日:2019.3.28

伝統工芸である鬼瓦を手がけてきた、美濃邉鬼瓦工房。古くから継承されてきた技と想いを、京都大学インカレサークルKeyElementと京都市立芸大の学生たちが現代のプロダクトに昇華させるプロジェクト「MINOBE DESIGN PROJECT」。第三回は試作品の完成と「音・光へのこだわり」について取材しました。(前回の記事はこちら

音と光へのこだわり。

(試作品:提灯アロマキャンドルホルダー)

前回、美濃邉鬼瓦工房に京都市立芸大(以降、京芸)の学生のデザイン案を持ち込み、実際にこれらをプロダクトにすることを想定した調整をお願いして別れました。

そして今回、「猫のあくびスピーカー」と「提灯アロマキャンドルホルダー」の試作品が形になったと報せを受け、寒さ和らぐ3月初旬、滋賀の美濃邉鬼瓦工房に再訪問しました。

この2つのプロダクト、各々がビジュアルとしての意匠に加え、表現をしなければいけないモノがあります。それが「音と光」です。

まず見せて頂いたのは「提灯アロマキャンドルホルダー」。

京芸で制作し、美濃邉で焼き上がった試作品は、当初の想定通り、内部の酸素量が連続的な燃焼に十分耐えうるプロダクトに仕上がっていました。

指で弾くと、高く、しかし重厚で深みのある音がする、いぶし瓦独特の仕上がり。

手仕事とは思えない均一で美しい面は、開口部から覗くアロマキャンドルの光をより一層美しいモノにしています。

これでも十分に美しいプロダクトですが、「本当の提灯のように淡く光が漏れる様子を再現できないだろうか」と議論が白熱。

結果、側面に穴を開け、その穴からキャンドルの光が漏れるような意匠にすることで、まるで提灯のように雅で繊細な光を生み出すプロダクトに改良できるのではないか、という結論に至り、再度意匠を練り直して頂けることに。

(試作品:猫のあくびスピーカー)

次に「猫のあくびスピーカー」を確認。

美濃邉さんは猫の意匠だけでなく、相当の時間をかけて内部構造も試行錯誤し、学生のデザイン案に、ただの伝統工芸品と現代プロダクトの融合に留まらない進化を加えて頂けました。

「置物ではなくスピーカーであるなら、音響メーカーには匹敵しないものの、細部にまで美濃邉の仕事を加え、スピーカーとしての価値も追及すべき」という想いから、音の通り道である内部構造にもこだわり、スピーカー部である猫の口以外から音が漏れない機構、音の反響を考慮した内部空間の設計など、内部で心地よく音を滞留させ、拡散させる仕組みを作りあげて頂けました。

外部の意匠に負けず劣らず、内部構造にも徹底的に美濃邊の技が注ぎ込まれています。

脈々と受け継がれてきた鬼瓦と、現代的プロダクトの邂逅。そして、ただのデザインに留まらない、音と光へのこだわり。

「使われず、感じてもらえない難解な技術では意味がない」

手にとり、使って、生活に寄り添っていく中で感じられるユーザー体験(UX)を最大限まで高めるため、匠の技術をプロダクトに込めて仕上げていきます。

デザインプロジェクトはついに焼入れへ。引き続き、その魅力を活かすべく制作協力、取材を進めていきます。お楽しみに。

 

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