極極ヒトリゴト
今だからこそあえて「プラットフォーム戦略」。次代を担うベンチャーの共通点とは?
Writer|Taketo.S |
- 読了目安時間:8分
- 更新日:2017.6.5
電気自動車とIoT。プラットフォーム上で共鳴し合うベンチャーたち。
さて、話は現代に戻ります。技術というのは継続的に伸長していくものです。しかしながら、何年かに一度爆発的に多くのモノを巻き込んで消費者の生活を一変させるということがあります。
ここ10年くらいで言うと、携帯電話の普及が飽和状態になるほど進み、ガラケーからスマホへと端末が変わったことやインターネットでの買い物が増えたということも1990年代では考えられないことだったでしょう。
これはIT技術というものが他のテクノロジーなどと比較しても指数関数的に発展してきたという背景があるからです。つまり、10年後の私達の未来には今ありえないと思っていることが当たり前の技術になっているかもしれないんです。
そして技術で生活が一変するということは、言い換えると、“考えられないほど多くの消費を生み出す”ということに他なりません。この消費を生み出す企業は多くの場合プラットフォーム戦略を取り、市場を一気に寡占するか、そのマーケット上において自社のプラットフォームを介することが一般的になるような戦略を取ってきました。
この革新の旗手になりえる期待の企業が、電気自動車やIoTの業界にいます。
GLM株式会社
京都大学出身の小間裕康社長が舵をきる新進気鋭の自動車ベンチャーです。2011年より、MUFGキャピタル、地銀系、グロービスキャピタル、ユアサ、京都機械工具などから合計で数十億円を超える複数回の資金調達に成功しています。
GLMの売りといえばやはりEV(電気自動車)のスーパーカーでしょう。
写真左はトミーカイラZZをベースにしたEVカー、右はオリジナルのGLM G4です。どちらも電気で動くスーパーカーです。とくにGLM G4については価格も4000万円となっていて、マクラーレンやアヴェンタドールと真っ向勝負に行くという価格帯となっていて、大変注目されています。
EVが生み出す加速力というのは凄まじいと言われていますが、実際にGLM G4は0-100km/hが3.7秒で最高速が250km/hと公表されています。EVで気になるのは航続距離ですが、本車はフル充電で400km走るということで、ロングツーリングで山間を走るというときも安心出来そうですね。
しかしGLMの戦略は何もスーパーカーを創り出すだけではとどまりません。GLMは複数の提携企業の協力を得ることでファブレス型の生産を目指しているようです。
また、GLMはEVのパワーユニットの開発とボディの造形は明確に分けており、ボディを好きなようにユーザーが造成することが出来るという戦略を取っています。これによりGLMは大規模な生産拠点を持つというハードルがなくなり、また在庫を抱えるといったことや全国に販売網を確立するという手間がなくなります。
ユアサなどからの出資を受けていることから見ても、自社のアセットだけではなく様々な企業と協業しながら、パワーユニットであるEVをコアコンピタンスとしたプラットフォームを構築するという戦略に見えます。
GLMが構築するのは自動車関連のプラットフォームです。しかしそこにIoTや3Dプリンターといったテクノロジーの分野でプラットフォームを構築した他社とアライアンスを組むことで、既存市場にDigital disruption(創造的破壊)をもたらすことになるはずです。
>> 次頁「Digital disruptor(創造的破壊者)と既存企業の対峙」
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