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見られ、魅せる存在へ。京都大学応援団リーダー部長の語る、応援団員としての「生きざま」。
Writer|中村 達樹 |
- 読了目安時間:9分
- 更新日:2020.1.23
竹内瑛祐。京都大学農学部3回。第六十四代京都大学応援団応援活動責任者・リーダー部長。部員2人と存続の危機に瀕するリーダー部を牽引し、応援に魂を燃やす熱き男の語る、応援のあり方とその価値、そして応援団員としての「生きざま」に迫る。
個人と向き合う「応援」
-本日はお忙しい中ありがとうございます。まずは応援団の普段の活動の概要について教えて頂けますか。
はい、僕たち京都大学応援団は演舞演奏や試合会場での応援活動を通じて、体育会をはじめとした学内の団体や個人、そして京大全体を応援する団体です。近年の活動は体育会の応援が中心で、皆さんにとってもそのイメージが強いと思いますが、個人でも依頼があれば応援する、という姿勢でいます。
京都大学応援団はリーダー部・ブラスバンド部・チアリーダー部で構成されていて、この三部が一体となって活動しています。その中でリーダー部はマーチに合わせて型を披露し、声を上げる形式で応援しています。
-竹内さん自身の応援団に入った動機は何ですか。
入学当初は体育会に興味があり、ラクロス部・スキー部・ウィンドサーフィン部などの色々な体育会の新歓に参加していましたが、どの部にも目移りして決めかねていました。
そんな時に応援団の新歓練習にも参加したのですが、当時のリーダー部の先輩方は新入生である自分にも、目の前で付きっきりで指導して下さいました。見ず知らずの人間にこれほど真剣に向き合える人がいる、という部分に感動を覚えたのが、入団の一番の動機です。
それに加えて、応援団ならこれまで新歓でお世話になった他の体育会の先輩方とも関わりを持ち続け、恩返しができる、と思ったのも動機として大きかったです。
-入ってみてから気づいた楽しみは何ですか。
応援自体が楽しいのはもちろんですが、それ以上に出せる全てを出し切ることに喜びを感じますね。全身に力をみなぎらせ、声を張る応援は体力的には辛い部分もありますが、全力を出し尽くして気持ちを昂ぶらせる感覚は、得がたいものだと思います。
また、入団当初から望んでいた「恩返し」にもつながることとして、応援団に入ってから体育会の選手をはじめとする色々な人と関わる機会が増えたのも、自分にとって財産になったと思います。
-とはいえ、やはり練習は厳しいのでしょうか。
毎度毎度ではないですし、基本的には合理的に計画された練習ですが、厳しい時は本当に厳しかったですね。実際の応援で全力を出し切るためには、日々の練習で自らが設定する限界を超えなければなりません。初めての練習の時にはその厳しさに驚きましたが、その中で達成感や琴線に触れるものは確かにありました。
-そのような厳しい練習の他に、炎天下や雪の中などの過酷な環境での応援もあると思いますが、それでも応援を続けられる理由はどこにあるのでしょうか。
何よりも、京大の中で目標を持って努力し、競技に取り組んでいる選手の方々への尊敬が一番です。選手の皆さんは自分の競技成績のための努力だけでも精一杯なはずなのに、僕たち応援団にも「応援に来てくれてありがとう!」と感謝を伝えてくれる。その事実だけで尊敬を覚えますし、応援を続けられるモチベーションを保てます。
そして応援団はやはりそういった選手を後押しして、勝たせることが目的です。エゴになってしまうかもしれませんが、「勝てば選手の努力の結晶、負ければ自分たちのせい」くらいの気持ちで応援しています。
-応援にあたり、意識していることはありますか。
選手個人に寄り添った応援を意識しています。選手個人がどういった人柄かを知れば、一番選手の力になる応援ができるだけでなく、応援にかける思いも変わってくるので、選手との交流や、各団体のブログなどからの情報収集を大切にしています。
団全体としても、よく応援に行く団体に対しては担当を割り振って情報収集を行い、団員全員で共有しています。もちろん過去受け継がれてきた伝統に従った応援が中心にはなりますが、その中で選手個人の特徴や個々の試合の位置付けについて下調べしたことも、しっかりと反映させるようにしています。
-伝統と統一性の中でも、結構個性を出しているんですね。
そうですね。団内でも学ランの裾の長さが団員の好みに委ねられています。他大学では地域や大学ごとの差はあれ、個人単位では服装が厳密に揃えられていることが多いのですが、京大では昔からある程度個性が認められています。これは応援される側だけでなく、する側の個性も大事にしてきたという伝統なのだと思います。
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