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見られ、魅せる存在へ。京都大学応援団リーダー部長の語る、応援団員としての「生きざま」。
Writer|中村 達樹 |
- 読了目安時間:9分
- 更新日:2020.1.23
見られ、魅せる立場としての「応援」
-ではその応援団において、リーダー部はどのような役割を果たしているのでしょうか。
最も重要なのは、「リーダー」の名の通り応援全体を統率する役割です。リーダー・ブラスバンド・チアリーダーの三部は、あくまで一体となって活動しますので優劣があるわけではないですし、リーダー一人で成立するような応援も存在しないのですが、それでもやはり先頭に立って指揮をとり、三部の技術を一つの方向性の下に纏め上げるのはリーダー部の役割です。
それに加えて、リーダー部は三部の中で最も自由な感動の表現ができる部だとも思います。応援で人の心を動かすには、応援対象の躍動する姿を見て思わず手を叩いてしまったり、声を上げてしまったりするような、瞬時に湧き上がる衝動を表現し、周囲に伝播させることが重要だと考えています。
こういった拍手や声援は、手に楽器や小道具を持たないリーダー部だからこそできる応援形式だと思いますし、その強みをいかに活かせるかを普段から考えて応援しています。
-やはり拍手や声援には大きな力がありますよね。
はい。この二つは「音」であることが大きな強みだと思います。目の前の状況に全力を注いでいて、一瞬たりともよそ見のできない選手にとって、一番届きやすいのは音です。
さらにその音が応援の型と共鳴することで、はじめて応援する自分たちの姿を選手の脳裏に焼き付けることができます。リーダー部の拍手や声援に加え、ブラスやチアも含めた応援団全体の音を、いかに纏め上げるかが重要だと考えています。
-ここまでお話を聞く限り、「どう聞こえているか」に相当注意を払われているようですが。
そうですね。演舞の型を練習する中でも、「どう見られ、どう聞こえているか」を意識しています。自分の応援する姿は自分では見えない中で、いかに型を保ち、また自分らしい型を磨き上げていくか、という点が、応援の苦しみでもあり、楽しみでもあります。
見られ方に関して言えば、動き続けていると疲労で徐々に型が崩れていくという体力的な問題もあります。野球応援でチャンスが続き、ひたすらマーチが流れる時などは、特に意識していないと疲労が表に出てしまいます。
そこをどう体力と意地で乗り切るか、という点も同様に応援の苦しい点でもあり、真価が問われる場所でもあると思います。
さらに、見られるにあたっていかに冗長で退屈な繰り返しにせずに、目新しさを提供できるか、という点も考えています。その点は選手の個々の希望なども聞き、柔軟に調整しています。
-応援は随分緻密な計画のもとに成り立っているのですね。
そこが今回最も伝えたい部分の一つです。応援団に対して「大声で叫んでいる怖い集団」というイメージを持たれている方も少なくないと思います。
ただそれは応援団の一面でしかなく、むしろ団全体としてどう見られるか、どう魅せられるかを考え、実践する部分に応援の醍醐味がある。しかしそういった面は、応援団と関わりを持ったことのない方々にはあまり知られていないように思います。
そういった点を読者の皆さん、特にこれから京大に入ってくる新入生の皆さんに知って頂きたいですね。
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