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「積む」をカフェnoirに昇華する挑戦。部員120人の想いをまとめた2人の大学生に迫る。
Writer|細辻 あおい |
- 読了目安時間:8分
- 更新日:2018.12.12
「noirっぽさ」、それはカッコいいを追求する「姿勢」。
-素材感に関してもですが、実際のチケットやスリーブなど色々なもののデザインもフォントや線の太さまで統一感があって、細かいところまでチェックされているのですね。
萬喜 それはチェックしたというよりは、今まで蓄積してきたnoirのデザインというのがあって部員がそれを共通に認識しているんです。みんなはそれを「noirっぽさ」って呼んでるんですけど。
-「noirっぽさ」ですか?具体的に言うとどのようなものなんですか?
木下 京都工芸繊維大学には他にもデザイン建築系のサークルがあるんですけど、それぞれにサークルの特徴があって。その中では、noirってフランス語で黒って意味でもあるので、モノトーンを使ってかっこいい感じ、スタイリッシュなイメージがありますね。
萬喜 これは僕のイメージなんですけど、実際にカッコいいカッコよくないとかじゃなくて、「カッコつけてる」という感じがnoirには毎年あるんじゃないかな、と思います。
それが本当にカッコいいかカッコよくないかはそれぞれの主観なのですが、カッコつけてできるだけスタイリッシュに、スマートなものにしていこうとするのが「noirっぽさ」かなと思っています。
-細かな方向性を全て言葉で共有するのでなく、色々な会話や経験の中で自然と部の中で「noirっぽさ」が共有されているってことなのですね。それってすごいことですよね…。
木下 逆にそれが故に苦しいところもありますけどね(笑)「noirっぽさ」が人によってズレてたりとか。
萬喜 でも何かを決めるときに、やっぱりnoirっぽいものが選ばれるんですよね。できたデザインなどがどれほどかっこよくても、noirっぽくなかったらみんなあんまり納得しない。そういうところで、やっぱり同じものを見ているな、となります。
-「noirっぽさ」とは「カッコいい」ではなくて「カッコつけてる」という姿勢なのですね。その姿勢自体がすごくカッコよくてオシャレだと思います!本日はお時間いただきありがとうございました。この後カフェの方も実際に伺わせていただきます!
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編集後記
取材後、取材陣は秘密基地のような部室のカフェにお邪魔しました。まず目に入ったのは天井一面に敷き詰められた白い風船。風船の間からはイルミネーション用のライトが瞬き、白い風船に反射してどことなく幻想的な印象を受けます。
風船は大きさも様々、重なり方もまばらで、一見無造作にも見えますが、その試行錯誤とこだわりが伝わります。床と座面のコンクリートパネルは触るととてもすべすべで、一切がたつきもせず頑丈そう。お客さんは自分で好きなところに黒い木のパネルを置いて座れるようになっていました。
全体的にシンプルですが、素材そのものの味わいや、シンプルだからこそのスマートさが感じられる作りに仕上がっています。
注文を待っていると部員の方がボードに乗ったフードとドリンクを持って来てくれました。このボードがまたすごい。オシャレで機能的な黒い木のボードで、そのクオリティはまるで商品さながら。ケーキの盛り付けやカップのスリーブも、綺麗かつオシャレで洗練されていました。
店内は男性客から子連れの家族客まで多くの人が入れ替わり立ち替わり、そのオシャレな空間を楽しんでいました。働いている部員たちの表情も楽しそうで生き生きしています。
チームで一つの大きなものを妥協せず試行錯誤して作り上げ、自分たちが楽しみ、人を楽しませる。これは、社会のあらゆるサービスにおいても必要なことなのかもしれないと、一生懸命「カッコいい」を追求する彼らの姿を見聞きすることで改めて感じました。noirの、そしてnoirの人たちのこれからが楽しみです。
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Follow @bicyear京都大学文学部4回生。現在ミュンヘン大学に留学中。好きなものは芸術と宝塚。競技かるたサークルと三大学合同交響楽団に所属。文化人を目指して生きていきたい。
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