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社会人インタビュー

地方のこだわり食材を世界へ!異色なキャリアが生んだユニークな缶詰作り。

Writer|ビックイヤー編集部 Writer|ビックイヤー編集部
  • 読了目安時間:11分
  • 更新日:2019.1.21

株式会社カンブライト 代表取締役社長 井上和馬。2015年9月、缶詰を中心とした長期間常温保存できる加工食品の開発支援を行うベンチャー企業を設立。衰退の一途をたどる日本の一次産業に危機感を感じ、IT業界から突然の転身。昨年、読売テレビ『かんさい情報ネットten.』でも紹介された注目のベンチャー企業はいかにして生まれたのか、その源泉を探る。

アジャイル開発で缶詰作り!?

-本日はお忙しい中、お時間を頂き誠にありがとうございます。早速ではございますが、井上さんの現在のお仕事内容からお伺いしてもよろしいでしょうか。

株式会社カンブライトの社長をしています。

弊社は缶詰を中心とした常温保存できる加工食品の商品開発を支援するベンチャー企業です。

-缶詰を作りたい方をサポートされていると?

はい、そうです。従来、缶詰は大きなロット(大量生産)でしか作ることが難しく、小規模な食品事業者様にとっては敷居の高いモノでした。

弊社はそれを小ロット(少量生産)から作れる“ものづくりの仕組み”を構築しました。

これにより、今まで缶詰の商品化にトライしてみたくても出来なかった、地方の小規模な食品事業者様にその機会をご提供させて頂いております。

-従来の缶詰作りと比べ、具体的にどこが違うのでしょうか。

自社で缶詰を試作できる小規模なラボ(缶詰工場)を持っていますので、100缶程度の小ロットから食材の缶詰化が可能です。
(『世界一小さな缶詰工場』と謳われている自社ラボ)

そのため、こんなモノだったら世の中に受け入れられるんじゃないかという仮説を立てたら、小ロットで実際に缶詰を作り、それを市場に出してみて、消費者の反応を見て、さらに商品を良くしていく、というサイクルを高速に回すことが出来ます。

現在では、もちろん様々な条件により変わりますが、このサイクルを4ヶ月程度で回し切ることが出来ています。

-なんだかITベンチャーのものづくりみたいですね。

実はその通りで、私たち自身で『カンブライトはアジャイル・マーケティング型の商品開発をします』とハッキリと謳っています。
※アジャイル(Agile)とは『すばやい』『俊敏な』という意味で、反復 (イテレーション) と呼ばれる短い開発期間単位を採用することで、リスクを最小化しようとする開発手法の一つ(主にソフトウェア開発の現場などで用いられる)

-自社ラボを活用し、アジャイル開発の考え方を取り入れた商品開発を行うことで、従来の缶詰の商品開発よりコストが抑えられることは理解できました。ただ、それでも量産時のコストはボリューム(ロット数)に大きく影響を受けるのではないでしょうか。

仰る通りです。

小ロットだと、どうしても販売価格が高くなります。そのため、高くても売れる、いわゆるプレミアム缶詰市場を醸成していく必要があります。

例えば、スーパーマーケットで1缶1,000円の缶詰はなかなか売れないと思いますが、贈り物や催事商品として3缶セットで3,000円なら十分可能性があると思います。

このような市場を作るため、様々な場で弊社の取り組みをプレゼンさせて頂いたり、企業様と提携させて頂いたりと、啓蒙活動も積極的に行っています。

(昨年末、一般の方を対象に開催された缶詰の試食会の様子)

-市場の反応は、実際どうでしょうか。

まず、「自社の食材を缶詰にしたい」という食品事業者様は相当数いることが分かってきました。やはり長期間の常温保存ができ、輸送もしやすい缶詰のメリットは非常に大きいようです。

また、実際に世に出した商品も予想以上に売れることも多く、こういったプレミアムな高価格帯の缶詰商品を買いたい人もちゃんといることが見えてきました。なので、市場としては十分にやっていけそうかなと思います。


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