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「語り」が社会を変える?現役京大生がBAR開業に挑む。

Writer|塩田 かりん
  • 読了目安時間:7分
  • 更新日:2019.3.21

SNS上の批判や親からの反対。それでもkatharsisが目指したもの。

-バーの開業準備を進める過程で何がいちばん大変でしたか?

バッシングに対する対応ですかね。まずはみんなに知ってもらうことが大切だと思ったので、ありとあらゆるツテを使ってバーの告知をしました。そしたらツイッター上でバッシングされて(笑)

-それはどういうバッシングだったんですか?

「どうせお金儲けなんだろ〜」とか「こんなの言う奴はたいしたことない」みたいな誹謗中傷もありましたが、わりと建設的なものも多かったです。「こういう風にした方がいいんじゃない?」とか「この文章はこういうところが足りない」とか 。

これらのバッシングに対応するのが結構難しくて。めっちゃ批判していた人とは直接会って話すことにしました。

-えー!すごいですね。

僕らのバーのコンセプトって話すことなので、ツイッター上でやりあうのはやりたいことじゃないなって思って。いろんなところにいって思いを伝えて説得したんです。そうしたら納得してくれる人が多くて「協力したいです」まで言ってくれる人すらいました。ただ、足を運ぶのは結構大変でしたね。

あとは親を説得するのも大変でした。母親は結構納得してくれたんですけど、父親はなかなか納得してくれなくて。40年会社勤めをしてきた人からみたらバーなんて何がやりたいのかわからない。

「若者にそんな聞くこともないしなあ」って言われて、そんなこともないよ?って(笑)

やっぱり伝えるのが難しいですね。最初のステップとしては。

-納得してもらうためにどうしたんですか?

僕はこういう考えでやってるんだって、今社会が悪い方向に向かっているからそれを正したいっていう大きいテーマでやってるんだっていうのを長々と語ったわけなんです(笑)

-語ったわけなんですね(笑)

そしたら「まあやってみたら?」というところまでいきました。学生の身分でやる以上、親はいちばんの壁になるんじゃないかなって思います。

-「社会が悪い方向に向かっている」というお話がありましたが、具体的にはどういうことですか?

今ってAIとかがすごく進化しているじゃないですか。僕もAIを研究しているのでAIが進化するとどうなるかっていうのを考えているんです。

『サイコパス』っていうアニメがあるんですけど、その世界では人の性格や趣味思考が全部把握できるんです。それに基づいて、その人が進むべき道やいちばん幸せになるべき道など最適解を出してくれる。

そうなると人って考えないんですよ。AI頼りになって何も考えない。今その傾向は出始めていると思います。たとえば就活でも、AIがその人にあった就職先を提案してくれるシステムがあって。それでいいのかなっていうちょっとした危機感があります。

もっといえば、就活では自分の表層だけしか見せない。嘘八百を言うことだってある。それで採用されてもだいたい幸せにならないし、やっている方も辛い。もっと本物をさらけ出して、自分で本物を掴み取っていけたらいいのにって思います。

-それと「語り」はどのような関係があるのでしょうか?

滋賀大の過去問に「自分で思い考えることが、自分の価値観や考えを深めるいちばんの手段」と書いている文章があって、これだって(笑)

さっきも触れましたが、自分で思って考えて語り、相手から反応をもらうことで自分の立ち位置がわかって「自分はこういうやつです」と言えるようになる。そうなったら自分を繕う必要もないし、自分のやりたいことがはっきりわかるんじゃないかなって。

-つまり、今の社会の他人頼りな部分や表層を繕っている部分を、自分の再発見を促す「語り」が改善していく、ということですね。

そうです。


>> 次頁「椅子も机もない?!katharsisの見据える未来。」

 

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